第97回   春恒例。当院の新人研修会。
2014年4月18日  
 
   春爛漫。4月は私にとって1年の内で一番心躍る季節です。桜の花が満開に咲き誇る中で華やかに催行される入学式、入社式。そこから希望に満ちたピカピカの新一年生や新社会人が大勢誕生する新年度が始まります。勿論“一年の計は元旦にあり”で、お正月が新たな年の出発点ですが、日本人には厳しい冬の寒さから解放された穏やかな大地に草木が芽生え、人々の気持ちも高揚する春4月に、改めて新年度として気分一新、出発し直せる季節が来るのは有難いことです。世界の中には、夏や秋に新年度が始まる国もありますが、やはり日本では春が一番相応しいと思います。
 余談ですが、この時期は“木の芽時”と云って、気分が高揚しすぎる人が出やすい季節でもありますので要注意です。
 余談ついでに、国際社会に合わせて、大学入学を9月に変更しようと云う動きが数年前にありましたが、世論が盛り上がらず現在は立ち消えになっています。やっぱり日本人は春の霞に誘われて入学したいと思う人が大勢を占めていたようです。唯、東大は未だに秋入学にこだわっていますが・・・?。
 ついでに、もっとどうでも良い余談ですが、私が4月生まれと云うこともあり、尚更、春は心が躍ります。因みに、当院も昭和53年4月10日に開院しました。

 さて、我星ヶ丘マタニティ病院にも、今年は13名の新入職員が入職しました。病院と云う職場の特殊性もあり、全員がピカピカの新社会人と云う訳ではなく、すでに職務経験のある人もいますが、それでも皆さん、大きな希望と夢に心を弾ませて、新たな気持ちで入職してくれたと思います。そんな新入職員のために当院では例年新人研修会を開催していますが、その冒頭で私が当院の理念、沿革、これから目指すべき目標について話しました。今回は愛読者の皆さんにも当院の理念を少し知っていただこうと思います。
 そもそもどうして私がこの病院を開設したのか・・・?
私は産婦人科を専攻し、特に産科に興味を持ち、名古屋市立大学産婦人科学教室で研鑽を積んでいましたが、その当時“お産はもっと妊婦さん中心に進行すべきものなのに、現状はあまりにも妊婦さんが無視され過ぎている、妊婦さんの意思を無視した管理に、良いお産はあり得ない“と考えるようになりました。あくまで妊婦さんが主役で医療的にも、アメニティの面でも妊婦さんに優しい、そしてより安全でしかも快適な理想の分娩を実現したい。そんな思いが私の中に沸々と高まっていきました。しかし、当時の大学病院や関連病院の環境ではそんな改革はとても無理でしたので、実現のためには、自分がトップに立って思い通りに立案し引っ張っていくしかないと考え、当時の妊婦不在の産科医療に挑戦すべく、ただ純粋に無謀とも云える夢と理想に向かってこの病院をスタートさせました。
 元々私は開業医向きではないと思っていましたし、開業する積りも無く、どちらかと云えば、自分は研究者、教育者が合っているのでその方向に進みたいと考えていましたが、未だ若かったのでしょう。一気に開業と云う対極の結論を出してしまいました。いずれにしても、そんな万感の思いを込めて作ったのがこの病院です。そして、その思いを病院の理念として表現したのが、次の3つのモットーです。

1. 「患者さんに優しい理想の周産期病院の確立!」 
2. 「総合病院と同等の施設とスタッフで個人病院の親切さを!」
3. 「より安全でしかも快適な分娩を!」 

の3つです。
「患者さんに優しい理想の周産期病院の確立」これが星ヶ丘マタニティ病院設立の夢であり、現在も続く目標です。周産期病院とは読んで字の如く、お産の周りの時期を管理する病院と云う意味ですが、この時期を産婦人科だけではなく、いろんな科が集まってより総合的なケアをする。それもスタッフや医療側の効率の為では無く、患者さんを中心にして考える。あくまで患者さんの安全とアメニティのために、患者さんに優しい周産期病院のシステムを作ることにあります。「総合病院と同等の施設とスタッフで個人病院の親切さを!」 全ては無理ですが、事、周産期部門に関しては総合病院に負けない設備を備え、スタッフも数だけではなく、彼等以上のレベルのスタッフを揃えて、しかも、ここが大切な所ですが、官僚的な横柄な応対では無く、個人病院の特徴である心のこもった、親切な対応をしようと云うことです。その結果、整備された設備と、熟練されたスタッフによって「より安全でしかも快適な分娩」が出来るわけです。快適さには陣痛の苦しみから開放されると云った医療的な部分と、病院が綺麗とか、食事が美味しいと云ったアメニティの部分とが有ります。しかし最大の快適さは心のこもった、親切な対応に尽きると考えています。
 私のこの理念は多くの患者さんの支持を得て、今日までに約32,300人の妊婦さんがお産をしてくれました。現在の全国の周産期病院の趨勢を見ても、私のこの考えは間違っていなかった。少なくとも名古屋では先鞭をつけたと自負しています。
 しかしながら、創立以来36年が経ち、社会の状況はずいぶん変わりました。医療の現場においても、患者さんの権利意識が高まり、インホームドコンセント(説明と合意)の医療が要求されます。それは良いとしても、感謝の気持が薄れたのは、我々医療や福祉に携わる者にとっては寂しい限りです。しかし、当院も社会の変化に対応しなければなりません。そんな中で、妊婦さんに優しい周産期病院を貫くには、創立のモットーを踏まえた上で、ハイリスク分娩を扱う公的な周産期母子医療センターとは一味違う、リスクのあまり高くない妊婦さんに対して個々の要望に答えながら、しかも緊急に対応出来、安全で快適な分娩の出来る民間型の母子センター的周産期病院が当院のめざすべき方向だと確信しています。
 少々テンションが上がり過ぎましたが、木の芽時ですので、私の気持ちも少し高揚しすぎたかもしれません。新入職員研修会に託けて、当院の姿勢を示させていただきました。
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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