第74回   愛知県産婦人科医会 会長就任
2012年5月28日  
 
   理事長コラムを心待ちにしていらした愛読者の皆様(そんな奇特な人、何人いるかな?) 、今月の投稿が大変遅れて申し訳ありませんでした。1週間も遅れたので、突然コラムをやめてしまったのではないか?とか、体調を崩してしまったか?とか、ご心配をお掛けした向きもあったようですが、いずれも外れで体調も良く、コラムを辞める積りも無かったのですが、実は5月26日の土曜日に愛知県産婦人科医会の役員選挙があり、不肖私が会長に推薦されていたので、その結果が解ってからコラムを書きたいと思っていて遅れてしまったのです。
 さすがに先週は不安で少しイライラしていましたが(選挙は何が起こるかわからない)、結果は見事、当選しました。と云っても、結局締切日まで、対抗馬が無く、無投票当選と云う拍子抜けの結果となりましたが・・・。手前勝手に考えれば、私の人望が絶大で対抗馬に成れる人がいなかったと自惚れた解釈をすることもできますが、実際にはこんな忙しくて大変な役を引き受ける人がいなくって、だれも立候補せず、私が無理やり祭り上げられたきらいがあります。
 他人の思惑はともかく、私としては、50歳半ばからもう20年近く産婦人科医会の役員を続けていて、年齢も71歳になりましたし、そろそろ足を洗いたい、引退したいと考えていたところでしたので、推薦を受けた時は少し迷いました。しかし、これまで役員(直近は副会長)として20年近く頑張ってきたのだから,最後のご奉公として、もう一期(2年)だけでも勤め上げてから引退しようと考え推薦を受けました。(チラッと、最後に会長を務めてから引退するのも引き際としては恰好良いかなと思ったりして・・・。否々、そんな軽い気持ちや,見栄で引き受けた訳ではありません)。
 私も立場上良く解っていますが、今、産婦人科は、決して平穏無事ではありません。それどころか難問山積で大変厳しい岐路に立たされています。それは、医者以外の方々にも、漠然とはご理解いただけるだろうと思いますが・・・。だから冷静に考えれば、そんな時に安易に会長を引き受けるべきではないのです(でも受けてしまった愚か者?)。
 具体的に医療側の問題点を挙げてみますと、先ず、新しい産婦人科の成り手が減ったことです。昔は、学生実習で分娩を見た学生は皆感動し(これは今でも同じですが)、何人かは産婦人科になりました。ところが今は、研修医制度と云うものがあり、卒後2年間各科を回り、そこで現実を体験します。当直の多いこと、しかも夜中の労働時間も多くて、翌日はそのまま外来診察に入るなど、加重労働にまずびっくりします。又産科はどうしても結果が悪いことがたまに起こります。そんな時、医者は無力感で落ち込みます。こんなに大変なのに給料は他科の医者と一緒だと知れば、研修医が産婦人科を敬遠するのも無理はないかもしれません。最近は、日本産婦人科学会の努力などで、少し希望者が増えてきましたが、内容的には女性医師の増加が目立ちます。女性医師は丁度一人前になった頃、妊娠、育児で職場を離れる人が多く、復帰しても労働力としては3人で1人分位にしかなりません。今愛知県でも働き盛りの女性医師が50%に迫ってきました。この現実の中で愛知県の分娩施設が減らない様に、又周産期連携システムなどで妊婦さんに迷惑を掛けない様に対策を講じなければなりません。又、足らないのは医者だけでなく、助産師や看護師も同じです。すでに医師会立の看護学校、助産師学校は設置していますが、卒業生が私的中小病医院に就職するような工夫をする必要があります。
 それから産婦人科について回るのが医療トラブルです。先ず事故が起きないように、研修会や講習会を増やして啓蒙しなければいけません。唯、最近のクレームの中には、患者さん側に問題があるような事例も増えてきました。医者の信頼が無くなったのか、あるいは患者さんの権利意識が強くなったのか、すぐ対立関係になってしまうのが良かれと思って頑張った医療者としては寂しい限りです。
 次に医会の運営について考えてみますと、若い開業医や勤務医があまり医会に対して関心を持っていないことが心配です。それどころか、医会にメリットが無いので退会しようかと考えている医者もいるようで残念です。実際は彼らが気づいていないだけで、今でも色々な便宜を図っていますし、面倒な医療的代行業務だけでも、充分会費に見合った仕事をしているのですが・・・。
 何としても若い会員に理解してもらえるような医会にしなければなりません。それには若い開業医や、勤務医の目線でものを見、それを解るように努力しなければならないでしょう。私としては、会員のための産婦人科医会であることを念頭に置いた医会運営を心がけ、産婦人科医会は産婦人科医の仲間の会だと云う仲間意識を持って、それぞれの立場で会員が関わりあっていけるような開かれた組織にしたいと考えています。
 一方で、会の財政がひっ迫してきました。これは産婦人科医会に限らず、どの団体でも同じような状況のようですが、当医会ではA会員(開業医)の減少、県や市の補助金の減額、広告収入の減少などが原因です。すでに赤字決算が数年続き、繰越金も底をついてきました。私の年度で純赤字になっては困りますので、事業計画を縮小するよう仕分け作業をしなければならないかもしれません。そんなことをすれば、国の仕分けの時の各省庁と同じで、担当理事から文句が出るでしょうね。新年度が始まっていきなり喧嘩はしたくないしどうしましょう・・・?
 結局、このコラムを書くことで、これから私がしなければいけないことの、問題整理をしてしまいました。あまり面白くもない、興味もないかもしれないことに長々と付き合わせてしまってご免なさい(今日、会長になったばかりで、このコラムが最初の原稿でしたので、ツイツイこんなことになりました。すみません)。
 来月は、ぜひ面白くて、役に立つお話を書いて埋め合わせます・・・?
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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