第53回   不思議タイトル“女も稼いで男も使う!?”
2010年8月20日  
 
   中日新聞夕刊の1面に“紙つぶて”と云うコラム欄があります。それぞれ著名な方が随筆を書かれていますが、そこに8月12日付けで、中央大学教授の山田昌弘さんが“女も稼いで男も使う!?”という不思議なタイトルで面白い事を書いておられました。
 内容は、男女共同参画会議での基本計画案提出に際して、“従来、男女共同参画というと、能力ある女性が社会で活躍する点が強調され、男性には無関係であると思われてきたが、今回の計画案の特徴は男性にとっての重要性を取り上げたことにある”と云う訳で、一つの例えとして、日中米英伊の男性の収入に対する小遣い額の割合を披露されています。
 それによると、日本男性は五ヶ国中最低でわずか8%。欧米は15%程度。中国は35%だそうです。つまり、日本人男性は、稼いでいる割には自由に使えるお金が少ない。その理由は、共働き率にあり、中国はほとんど共働き、欧米も共働き率が高い。日本でも妻がフルタイムで働いている男性の小遣いは多く、妻の収入が多くなれば、夫の小遣いも増えると結論できそうです。
 そこで“既婚女性の職場進出を推進し、女稼いで男使って日本経済の活性化に繋(つな)げよう”と結んであり、やっと不思議なタイトルの意味が解かりました。逆説的に云えば現在の日本では未だ“女稼がず、男(お金を)使っていない”と云うことのようです。
 もちろんこのエッセイの本来の意味は“ごもっとも”と納得できますが、それよりも最初に私の興味をひいたのは、日本人男性の小遣い率8%です。
 どうも私はそれも満たされていないようです。私の家内は現在専業主婦ですから、この論理から云えば、小遣い率が低い部類に入っても仕方がないのでしょうが、私も長年一所懸命働いていますので、せめて日本人男性の平均小遣い率まで上げてもらっても良さそうな気がします。子供も皆独立して生活費も以前ほど掛からなくなったはずですし、一度奥方に交渉してみようと秘かに考えています。
 昔、エンゲル係数と云う言葉がよく使われました。これは生活費に占める食費の割合で、エンゲル係数が高いほど経済的余裕がない、生活水準が低いとされていましたが、小遣い係数(?)の低いのも経済的余裕がない、亭主に甲斐性がないと云うことになるのでしょうか。
 確かに、共働きの連中は、小遣い係数が高いことは事実です。私の友人、知人の医者で、女医さんと結婚した人がいますが、彼らは奥さんに開業させて稼がせて、経済的なことは奥さん任せで、自分の給料はほとんど自分の好きなように使って、(と云うことは小遣い係数ほぼ100%)自分の好きな道を進んでいました。ただその進み方は二分化されて、結果はとも角、大学に残って教授を目指して研鑽を重ねた人もいれば、片方では、暇な公的病院の勤務医を続けて給料を趣味や遊交に使いのんびりと楽しく暮らしている人、もっと極端なのは、開業した奥さんの診療所を手伝う程度しか働かず、奥さんから小遣いを貰って優雅に(?)暮らしている人もいます。こうなると“ヒモ”と云うか、“髪結いの亭主”的存在になってしまいます。この場合の小遣い係数は何%と云えば良いのでしょう?。
 そんな彼らをうらやましいと思ったこともありましたが、私のように遮二無二働いた人生と彼らのような人生とどちらが医者として充実していたかは難しいところです。
 ところで、“今回の計画案の特徴は男性にとっての重要性を取り上げた”と云う真意は、もちろん、日本人男性の小遣い率の話が本論ではなく、女性の社会進出を優遇するあまり、逆に男性の方が職場で不利益を受けるような危険が潜んでいるので注意しようと提起されたのだろうと推測します。
 医者の世界でも、特に産婦人科では、女性医師の増加によって色々な問題が発生しています。昔、私が大学の医局にいた頃は、女医さんの数も少なく、たまに女医さんが入局してきて、本人は男性と同じように働く覚悟でも、お姫様扱いでした。その頃は、彼女一人くらい特別待遇にしても困らなかったからです。
 しかし、最近の産婦人科は入局者の約半数が女性医師です。女性医師には当然ながら妊娠・出産・育児が伴います。それもやっと一人前になった頃に・・・。もちろんその間は産休、育休を取りますが、そのまま休職してしまう人も多いのです。これでは折角一人前に成った産科医がどんどん減ってしまいます。
 皆さんもご存知のように、このこともひと頃の産科崩壊の一因になっていました。そこで何とか女性医師に早めに復職して貰おうと対策が考えられました。
 ワークシェアリングもその一つで、女性医師、個人個人の勤務時間はできる範囲に短縮して、2〜3人が1グループになって男性医師1人分の労働時間をまかなってもらうシステムです。しかし、昼間の時間はこれで何とかカバーできますが、夜とか土、日は都合がつかない人が多く、結局そのしわ寄せが男性医師にかかってきます。冗談で、若手男性医師が“最近我々は夜の商売になってしまった”と嘆いています。
 折角、男女共同参画で女性が社会に進出できたのに中途半端で返って歪みになっているような部分があります。どうせなら、育児中の女性医師が男性医師と同じように働ける環境を作るところまで男女共同参画を進めて欲しいものです。
 堅い話はこれ位にして、皆さんのお宅の小遣い係数は如何ですか。日本並み?欧米並み?それとも中国並み?
 ひょっとしてご主人がこれを読んで、自分の小遣い係数を計算し値上げ要求をしたらどうします。せめて欧米並みに上げてあげますか?
 共働きの人はぜひ上げてあげてください。私自身のことも含めて、私からもお願いします!
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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