第8回  奥方の更年期障害と亭主の対応 2005年10月20日  
 
   先日、ある定年前後の男性ばかりの会合で、奥方の更年期障害について話してくれと言う講演依頼がありました。そこで私はただ更年期障害の症状や治療法を当該の女性に話すときのようにしてもつまらないと思い、亭主の対処法についても話したところ大変好評でした。今日はその時のエッセンスをお話したいと思います。もしこのコラムを若い妊婦さんやママが見て下さったなら、お母さんよりむしろお父さんに見るように勧めてください。
 今や女性の平均寿命は85才を越すまでに延びましたが、閉経年齢は52才位でほぼ一定しており、閉経後の30年位を如何に高いQOLを維持しながら生きて行って貰うかという事が、本人だけでなく、亭主族にとっても大変重要な課題になっています。そのためには如何に上手にこの更年期を切り抜けるかと言うことが大切で、これを上手に切り抜けるとその後の老年期を元気に過ごしていただけることが出来ます。
 皆さんの中には最愛の女房の介護を自分がして看取ってやりたい、そして彼女が亡くなったら、もう生きる望みも無いから後追い自殺をしようと言う、奥様一途の方もいらっしゃるかもしれませんが、大部分の亭主族は、途中色々あった不徳は棚に上げて、最後は愛する奥方の献身的な介護を受けながら生涯を閉じたい、先に逝きたいと願っているだろうと思います。その為には、奥方が何時までも元気に過ごして頂かなければなりません。その準備をこの更年期の時期から始めておかないと手遅れになってしまうという事です。それでは、そもそも更年期とはどう云うことかと言うことですが、
 更年期とは 「生殖期から生殖不能期への移行期を云い、卵巣機能が衰退し始め、消失する時期にあたる」と定義されています。この時期の最大のイベントは閉経で、閉経年齢は48才から53才までが多く、ピークは52才であるとされています。この閉経をどう受け止めるかで、症状の出方にも差が出ると言われており、生理が無くなって楽になった、せいせいしたと思うか、逆に女で無くなったようだと深刻に受け止めるかで症状の出方も違うと言うことです。
 更年期障害の原因は、「急激なエストロゲン(卵巣ホルモンの1種)の低下とその後に起こる卵巣刺激ホルモンの増加」に起因すると考えられています。ですから内分泌因子が主な原因ですが、心理、性格因子、社会的、家庭的環境因子も考えられ、念頭に置いておかなければならない原因の一つです。
 更年期障害の症状 「いわゆる 不定愁訴」、不定愁訴の特徴は 訴えが主観的で、多愁訴である。と言う事がまず第一で、それから、自覚症状の強さに比べ他覚所見は乏しく、時間や日によって症状が変還すると云った特徴があり、一般的に云って他人から見るとオーバーに感じます。

主な症状は
a) 血管運動神経障害   顔のほてり、汗をかきやすい、冷え症など
b) 運動器系障害   肩こり、腰痛、関節痛など
c) 精神神経障害   頭痛、不安、イライラ、不眠、無気力、うつなど
d) 知覚障害   しびれ、掻痒感など
※) 晩発症状として性器萎縮、性器乾燥感、老人性膣炎、性交痛と言った性器症状、おもらしなどの排尿障害、全身の皮膚の老化、大腿骨折のような骨粗しょう症、コレステロールが増える高脂血症、もう少し後になるとアルツハイマー型認知症などが有ります。

  不定愁訴に対する対応ですが、ご本人の対応は勿論ですけれど、それ以上に亭主族がどう対応したら良いかをお話したいと思います。
 さて、さまざまな不定愁訴があるわけですが、先程もお話したように、主観的で、比較的オーバーな自覚症状の訴えが多く、しかも毎日繰り返し続くので、ついつい邪険に扱いがちになりますが、ここはグッと我慢して、まず大きな愛情で包み込んであげて下さい。その事を大前提として、その上で色々なアドバイスや行動に移ってください。
 まず血管運動神経障害である、顔のほてりや、発汗は更年期の初期症状としてほぼ必発で80%位に出ますが、症状としてはそれほど辛くは無く、本人も笑顔で話すことが多いので、亭主としては優しくいたわりの言葉を懸ける程度で充分でしょう。発汗のあと冷えて風邪を引かないように気配りすれば最高です。治療としてはホルモン補充療法が良く効きます。それから冷え性と言うのは、頑固なものはかなり厄介です。普通の人が至適温度と感ずる環境の中で体の一部(主に腰、手、足など)が異常に冷たく感ずる事を云いますが、不思議な事に西洋医学ではこの冷え性の概念がありません。しかし東洋医学では好んで使われる概念です。
 冷え性は血管運動神経障害で末消血管の収縮による血流不全によって起こると云われています。自律神経失調症などで、更年期以前から出る事もあり、婦人には多い症状です。更年期で出た場合には、のぼせと冷えが連動し、ホルモン補充療法で効く事もありますが、はかばかしく無く、漢方薬などで長期治療になる事が多いようです。
 次に、運動器系障害、肩こり、腰痛、関節痛などですが、こんな症状が出たら、一応器質的疾患との鑑別をしなければなりません。例えば、腰痛症が出た場合、椎間板ヘルニアとの区別です。整形外科など専門科へ受診するようにアドバイスしてあげて下さい。器質的疾患で無かった場合、不定愁訴の場合はホルモン補充療法が有効です。この際、亭主の出来る事はマッサージ。この愛情のこもったマッサージは絶大な効果がありますので、ぜひ覚えておいていざという時に役立ててください。余談ですが、凝り性の女性では上手なマッサージはセックスより気持ち良いという人もいます。お試しあれ!
 いよいよ佳境に入ってきましたが、大分長くなりましたので、この続きは次回という事にします。
 
 
 
 
 
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