第132回   名古屋市が産後健診に助成金!
2017年3月21日  
 
   出産後の母親が育児への不安や重圧によって精神的に不安定になる"産後うつ"を予防するため、厚生労働省は2017年度から、産後健診の費用の助成を決めました。しかも、産後健診を産後2週間目と1ヶ月目の2回するよう定め、それぞれ5,000円を上限として2回とも費用を助成する予算を組みました。しかし、費用の半分は地方の各市町村が負担することになっていますので、市町村の懐具合や首長や議会の判断によって産婦さんの受けるサービスに差が出てきます。極端なことを云えば、今回の助成金を出さない市町村もあるかもしれませんし、どちらか1回しか出さない所もあるでしょう。
 幸い名古屋市は2回とも5,000円を助成すると3週間ほど前に発表しました。何時も渋ちんの名古屋市としては良く頑張ったなと思います。
 余談ですが、当院に通ってくださる妊産婦さんは名古屋市の方ばかりではありません。近隣の日進市とか尾張旭市とか瀬戸市などの方も来てくださいます。名古屋市と近隣の市町村との間に補助金の差があると云うことは住む場所によって負担金が異なることになりますので、妊産婦さんに取っても不公平感があるでしょうが、医療側にとっても、事務的に煩雑になって大変です。他府県からの実家分娩の人もいらっしゃるし、出来たら妊娠・分娩に関する助成制度は全国統一にしてもらいたいものです。
 さて、日本では産後健診は産後1ヶ月目の健診が主流で、ほとんどの病院が産後1ヶ月健診のみを実施し、2週間健診はしていませんでした。そして、1ヶ月健診では主に子供さんの発育と褥婦さんの身体的回復を診察して通常の日常生活に戻って良いかどうかを判断するのが目的でした。
 ところが今回は産後2週間健診を追加しました。これは何故かと云うと、出産後の母親が育児への不安や重圧によって、精神的な不調に陥るのは産後2ヶ月頃までに多いのですが、中でも"産後うつ"の発生リスクが高いのが産後2週間頃だからです。このため2週間健診は母親の身体的回復のみならず、授乳など子育ての悩みを幅広く聞き、精神的回復が出来ているか診るのが主な目的です。"産後うつ"は約10人に1人が経験すると云われ、決してまれな症状ではなく、深刻化すれば乳幼児虐待や育児放棄につながったり、自殺を招く恐れもありますので、不調の兆しを早めに見つけ、もし支援が必要ならば、育児相談や宿泊・日帰り産後ケア等の対応を進める必要があるからです。
 妊婦さんのほとんどは大なり小なり妊娠・出産に対する不安、育児に対する不安を抱えています。ですから、妊娠中からの精神的支えが大切ですが、特に産後は10%位の人が"マタニティブルーズ"や"産後うつ"を経験するわけですから、その時期のケアが上手く行かないと、本人も長期療養が必要になったりしますが、子供に対して育児放棄、果ては乳幼児虐待と進んでいく危険があります。これらを踏まえて、私は以前から妊産婦のメンタルヘルスケアの重要性を訴え、当院では妊婦・褥婦の精神的ケアを実践してきましたが、やっと厚労省が認めてくれたような気がしてチョット嬉しい気分です。

 母親の精神的状態を把握するために"エジンバラ産後うつ病質問票""育児支援チェックリスト""赤ちゃんへの気持ち質問票""抑うつエピソードチェック票"などのチェック票を使って判断しています。
 参考のために最近よく使われている、"抑うつエピソードチェック票"を示します。
精神的な不安が気になる人は(褥婦さんで無くても)試してみてください。

1.気分が落ち込む。
2.興味が無い、楽しくない。
3.おいしくない、食べすぎ。
4.眠れない、眠くて仕方ない。
5.自分は役に立たない、申し訳ない。
6.この世から消えてしまいたい。
7.へとへと、何をする気も起きない。
8.考えが進まない、決断できない。
9.そわそわ落ち着かない、動きが乏しい

1、2のいずれかを含む、5個以上の症状が毎日、2週間以上続く場合はうつ病。精神科への紹介が必要と判断します。

 皆さんは如何でしたか?5個以上無い事を祈ります!!
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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