第120回   意外と多い冬のプチうつ(冬季うつ病)
2016年3月22日  
 
   3月も中旬になってやっと少し暖かくなり、春の兆しがやって来ました。梅は既に咲き誇り、桜も芽づいて、庭の木々には鶯も飛来してきます。皆さんの気持ちも何となくウキウキして、ついはしゃぎすぎたり、そうかと思うと急にふさぎ込んだり、感情の起伏が激しい季節になりました。この時期は昔から木の芽どきと云って、新しい芽が息吹く時ですが、人間も精神的に変化を来して不安定になり易い時期ですので要注意です。
一方、少し前の2月頃は太陽の光も冷たくて、どんよりとした日々が続き、心身共に体調がすぐれない人が増加します。病気とまでは云えないけれど、何となく気力が萎えてウダウダする、所謂プチうつ症状になってしまうのです。そう云われてみれば“私もそんな経験ある、ある。”という人意外と多いのではないでしょうか。
 医学的にはこのような症状に“冬季うつ病”と云うれっきとした病名がついており、季節の変化に起因する“季節性情動障害”(季節性うつ病)の一つと考えられています。
 ただ“うつ病”という名称がついてはいますが、季節性のもので精神的に問題を抱えている場合は少ないので、一般のうつ病とは区別して考えられています。つまり、冬季うつ病は、うつ気分と共に過食、眠気と云った普通のうつ病とは逆の症状が現れやすいのが特徴です。その他の症状としては、以前ならやれた仕事をうまく処理できない。集中力が明らかに落ちる。意味もなく悲しくて泣けてしまう。自己否定的になる。普段より睡眠時間が長くなり、しかも朝起きられなくなる。炭水化物に偏る食事をコントロール出来ず体重が増える。等々があります。しかし、最も特徴的なことはその季節が終わると症状は改善し治ってしまうことです。
 冬季うつ病の原因は日照時間が不足する冬場に発症すること、又、緯度が高いほど発症率が高いことなどから、日照量の短さに起因すると考えられています。
 患者の男女比では、女性が圧倒的に多く、男性の4倍近くに上ると云われていますが、その理由ははっきりしていません。
 代表的な治療法は、専用の高照度光照射装置を用いた高照度光療法です。2500〜1万ルクスの照度で短時間当てるのが標準的な方法です。
 その他予防としては、日光に当たる生活を心がけること。日光に当たる時間が長ければ長いほど軽快する傾向にありますので、日光があまり射さない部屋に住んでいる人は、日光を取り入れるよう改善する必要があります。それから、早起きすること。人間の体内時計は約25時間ですが、朝光を浴びることで24時間リズムにリセットしています。季節と共に変わる日照時間によって、人間の体調も変わりますが、冬季うつ病の人はその季節の変化に強く反応する人と云えます。そのような人は特に早寝早起きを心がけ、日照時間を延ばす必要があります。もう一つは、食事を工夫すること。冬季うつ病に限らず、うつ病の原因と指摘されるのが、神経伝達物質であるセロトニン不足です。セロトニンを増やすには、光に当たる、運動をするなどの方法がありますが、食事で増やすことも出来ます。セロトニンは食物の中に含まれる必須アミノ酸の一種のトリプトファンから作られます。炭水化物中心の食事はトリプトファンの吸収を助けてくれますので、冬季うつ病の人が炭水化物を求めるのは体が欲求しているとも云えますが、かと云って過食にならないように気を付けなければなりません。
 以上冬季うつ病について概説しましたが、冬季うつ病。特にプチうつは、いわば冬眠のようなものですのであまり深刻に考えない方が良いと思います。冬季には心身の調子を崩しますが、冬が終われば回復し又元気を取り戻します。冬眠が覚めれば必ず春は来ます!!。
 ただ、春は木の芽どきですので、あまりはしゃぎ過ぎて情緒不安定にならないように気を付けてください。それこそ適応障害“と云われてしまいますから・・・。
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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