第102回   和食で延ばせる健康寿命!!
2014年9月19日  
 
 

“アルファクラブ”と云う胃がんで胃を手術した人達のためのコミュニティ小雑誌があります。私も胃がんの手術をした後この雑誌を知り、もう十数年愛読しています。主な内容は術後後遺症に対する専門医の学術的な解説や、体験者の経験的な対処法などが記載されていますが、その他にも役に立ってしかも面白い随筆やコラムが載っています。それらを以前にも時々、当コラムで紹介させていただいたことがありますが、今回は“和食で延ばせる健康寿命”と題した武庫川女子大学国際健康開発研究所 所長の家森幸男先生が書かれた大変興味ある随筆が載っていましたので紹介します。
 現在日本人の平均寿命は男性が初めて80才を超え、80.21才、女性は2年連続世界一で86.61才と世界に名だたる長寿国ですが、平均寿命と健康寿命との差が男性で9才位、女性で12才ほどあり、実際には最後の10年間は、“寝たきり”や“認知症”になって不本意に過ごす人が大勢いらっしゃるのが実情です。
 そこで健康寿命を平均寿命に少しでも近づけようと、今種々のアプローチがなされていますが、家森先生は健康寿命を延ばすためには生活習慣病の予防が重要であり、これらの病気は遺伝よりも栄養で改善される,即ち食生活で予防出来ると云う観点から、栄養が予防に重要であることを証明するため、WHOの協力を得て、世界25ヵ国60以上の地域で調査を実施し、24時間尿や血中の栄養マーカーを分析して、栄養と高血圧や脳卒中、心筋梗塞などとの関係を調べたところ、食塩の摂取量が多いほど血圧は高く、脳卒中の死亡率も高いこと、尿中に魚由来のタウリンや大豆のイソフラボンが多く、血中に魚由来のDHAなどの多価不飽和脂肪酸が多いほど心筋梗塞が少ないこと、タウリン、マグネシウムの接種が多いほど生活習慣病が少ないことが解ったとのことでした。
 そんな報告の中で私が最も興味を持ったのは、当時(1980年代)、平均寿命が最高だった沖縄の人々と、沖縄からハワイやブラジルに移住した人々とを比較したデータです。ハワイへ移住した人々はタンパク質やカリウムの接種が増え、魚や大豆、海草を食べる日本的食生活が保たれた上に、食塩摂取量が1日6gに減ったため、当時の世界最高の平均寿命に達し、認知症も少ないことが解りました。一方、ブラジルに移住し沖縄での食習慣の失われた地域では、心筋梗塞が増え、平均寿命が17年も短くなったと云うことです。これは遺伝以上に食環境が長寿、特に健康寿命に良いことが立証されたことになります。更にハワイ、ブラジルの日系人や、心筋梗塞が多発していたスコットランド人に、大豆タンパク質やDHAを強化したパンを5〜8週間食べてもらったところ、血圧やコレステロール値が低下し、まさに日本食の栄養源が脳卒中、心筋梗塞、骨粗鬆症などの生活習慣病の予防に有効であることが証明されたと云うもので、和食の栄養源から少し塩分を減らした形で楽しめば、生活習慣病は予防出来、健康寿命も延ばせると結んでいます。
 今、欧米人は和食の栄養源、献立に注目して食習慣を変えています。それに引き換え我々日本人が一度変わった欧米的食習慣からなかなか脱却出来ないでいる現状です。
 ぜひ、愛読者の皆さんは、和食思考に戻って健康寿命を延ばしましょう!

 

 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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