第93回   皆さん、今年も頑張りましたか!?
2013年12月20日  
 
  この所、急に寒くなって、文字通り木枯らし吹きぬく年の瀬がやって来ました。当コラム愛読者の皆さんにとっては、この1年はどんな年だったでしょうか?。たぶん大部分の皆さんは頑張った、充実した良い年だったと思いますが、不本意な年になってしまった人も中にはおられるかもしれません。でも、感じ方は人それぞれですから・・・?。くよくよしないで来年に期待しましょう。
 私の今年はと翻ってみますと、年の初めに突如、首が痛くて廻らなくなり、最初は寝違いかと思ったのですが、整形外科で“頸椎症”と診断され、局所ブロック注射や、牽引治療などを施しましたがなかなか改善しません。私も医者ですので、整形外科で出された薬以外にも文献などを色々調べて効きそうなあらゆる鎮痛消炎剤を取り寄せて試してみましたが、これも効果ははかばかしくありませんでした。整形外科医は“年の割には変形が軽い”と慰めてくれますが、“診断はどうでも良いから、痛みを取ってくれ!”と騒ぎたくなりそうで、昨今は患者さんの気持ちが良く解ります。とうとう整形外科に見切りをつけて?、医者のくせにと笑われるかもしれませんが、友人、知人の紹介で、針・灸・整体・マッサージと民間治療も試してみました。しかし、少しは良くなったものの、未だに痛みは完治していません。それどころか、最初は無かった指のしびれが出て来て、握力まで弱くなって来たのが心配です。視力も今年になって急に落ちてきましたし、やっぱり、年は争えないもので、年相応に衰えて来たのでしょう。その為かどうか、ゴルフは“調子が悪い”と云うより壊れてしまいました。他人は“会長職が激務のためだよ”と慰めを云ってくれますが、ゴルフが壊れた位はゴルフ仲間が喜ぶだけで大勢に影響はないとしても、医者としては、患者さんに迷惑を掛けないように、そろそろ現役引退を考えなければいけない年になったようで、何とも寂しい限りです・・・。
 肉体的なことから入ったら、いきなり暗い話になりましたが、気力はまだ衰えていません。今年も愛知県産婦人科医会の会長として難題に取り組んできました。その辺の活躍ぶり?を少しお話して今年の締めくくりとしましょう。
 先ず、今年産科領域で、心配したことの一つが風疹の流行でした。詳しいことは、第82回のコラムに書きましたので参照して欲しいのですが、以前のワクチン接種行政の不手際で、現在十分な免疫を持っていない若い妊娠世代の人がたくさんいます。そんな妊婦さんが妊娠初期に風疹に罹患すると、胎児に先天的な異常をきたす、先天性風疹症候群に罹る確率が50%を超えると云われています。二人に一人を超えると云うのはものすごい確率です。これを受けて、愛知県と名古屋市が時限措置として、風疹ワクチン予防接種を一部公費負担してくれることになりました。ところが、その内容があまりにも実情に沿わないので、会長として早速、名古屋市長と愛知県知事に内容改善の要望書を提出し、合わせて担当部署に出向き善処するよう交渉しました。しかし、こちらの主張が通ったのか通らないのか、はっきりしない玉虫色の返答しか貰えず大変不満でしたが、ひょんなことから、結果的に我々の主張通りになりました。
 同じ頃、今度は子宮頸がん予防ワクチン(HPV ワクチン)の副反応の問題が大きく取沙汰されました。マスメディアがこの副反応を大々的に捉え、このまま接種を続けて良いのかと懐疑的な論調で報じたのに対し、厚労省は“副反応の発生頻度などが明らかになるまで、定期接種を積極的に勧奨すべきではない”と云う軟弱でしかも解りにくい通達を出しました。要するに積極的には勧めないが、定期接種を中止するものでは無いから、打ちたい人は自己責任で打ちなさいと云うことです。しかし、患者さんは自分ではなかなか判断出来ませんので、現場の医療者に相談するでしょう。そうなると何かあれば結局我々医者が責任を負わされることになります。子宮頸がんは風疹と違って、特に流行が有る訳ではありませんので、初めての人には解決するまで少し待ってもらっても良いのですが、困ったことにこのワクチンは3回打って初めて持続的効果が期待できるものですから、2回目以降の現在接種途中の人にはどのように助言すれば良いか大変難しい問題を抱えてしまいました。会長として、会員が安心して指導できるように医会の方針を示さなければなりません。これには大変苦慮しました。欧米先進国では公衆衛生学的見地から、子宮頸がん撲滅のためにHPVワクチンは推奨すべしとして、一方で重篤な副反応者には十分な国家補償をしています。ところが、日本人には集団の疫学的効果より、個人の安全を優先する国民的風土がありますので、厚労省も今回の苦肉の通達になったのだろうと思います。その後の報告で他のワクチンと大きな差が無い事が解りましたが、現実には接種者は減ったままです。現在我々は勧奨の変更を厚労省に働きかけているところです。
 又、母体血を用いた出生前遺伝学的検査についても、規制が厳しすぎて、現場の実情と合わないものになっていますが、我々産婦人科医はこの規制を守っています。しかし、外資系の検査会社が他科を含めた医療機関に売り込んでいますので、やがて規制無視の施設が出て来るだろうと思います。そうなると結果の悪い時だけ産婦人科が尻拭いさせられるような本末転倒の事態にならないように、現在医会として働きかけています。
 一方虐待予防に関する活動を今年はかなりしました。つい先だってもある保健所で講演してきましたが、要は妊娠中、あるいは出産直後からの支援が虐待予防に大きな役割を果たすので、その時期に妊婦と関わる産婦人科の対応が大事なこと。又、愛知県と愛知県産婦人科医会が協力して作った全県統一の妊娠届出書がこの時期に随分役立っていることなどを強調しています。まあこんな訳で、私的には今年も老体に鞭打って結構頑張りました。
 皆さん、特に今年不本意だった方々、まだこれから忘年会、クリスマス、大晦日と年末の行事が続きます。この最後のイベントで起死回生の挽回をして、“終わりよければ全てよし”と云うことで良いお年をお迎えください!
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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