第2回 低用量経口避妊薬(OC)の副効用に注目 2006年5月19日  
 
   低用量経口避妊薬(OC)の普及が日本ではなかなか進みません。日本人のホルモン嫌いとか、理由は色々あると思いますが、その一番は病医院で無ければ処方されない事だと思います。唯でさえ、産婦人科へ行くのは抵抗があるのに、処方前検査が沢山あって、しかも内診まで受けなければならないとあっては二の足を踏んでしまっても不思議ではありません。又、低用量化が進んで安全性が高まっているにもかかわらず、OCはこんなに沢山の検査を受けないと安心出来ない危険な薬なのかという誤解まで招いてしまいます。その結果、OCの使用者が欧米では出産可能な女性の半数程度とされていますが、日本では2%に留まっています。
  OCは、平成11年に主要製薬会社十数社で華々しく発売され、不況だった当時としては異例の宣伝合戦が繰り広げられましたが、思うように伸びず淘汰され、今では3〜4社が残っているだけです。これと比較して思い出されるのが、妊娠検査薬です。薬局で買えるようになってから、飛躍的に販売が伸びてドル箱になり、製薬会社はホクホクですが、産婦人科へは検査結果陽性の人しか来なくなりました。我々にとっては痛し痒しですが、妊娠してない女性に取っては恥ずかしい思いをしなくて済むようになって良かったと思います。ちなみに欧米ではOCもドラッグストアで売っています。日本でもそうすれば意外と普及するかもしれません。しかし、厚労省は自己保全のガードが固くて解禁はなかなか難しいようです。その前段階として、OCの使用に関するガイドラインが6年ぶりに改定され、新指標では必須の処方前検査が、血圧測定と問診だけで良くなりました。他の検査を全員に行う科学的根拠が乏しいとされたためで、抵抗感の強い内診などが省かれました。この事は受診者の余分な身体的、精神的、経済的負担を軽減出来ます。
  もともとOCは避妊目的だけでは無く、色々な副効用が有って、しかも長期に使い易い薬なので、もっと処方したい薬の一つです。ガイドラインが簡素化されたのを機会に皆さんに使用してもらいたいのでOCについて少し説明したいと思います。まず主目的である避妊効果は、忘れずに飲めば99.7%以上と言われています。これはコンドーム(98%)や他の避妊法に比べて格段に効果は高いものです。次に、副効用として効果のあるものに月経困難症(生理痛)の軽減、過多月経(月経量が多い)の減少、その結果貧血の改善、月経不順の改善(月経周期を一定させる)、子宮内膜症の進行抑制と症状改善、又、にきびの治療、など若い女性の婦人科的悩みの多くを解決できる薬です。これらの治療にはある程度長期の服用が必要ですが、OCは低用量なのでその点で安心して使えるのです。長期的には子宮体がん、卵巣がん、大腸がんの予防にも役立つようです。ですから避妊を目的としなくても上記のような病気治療の為に使い易い良い薬なのですが、薬効が避妊目的しか通っていませんので、保険適応が無く、例えば、月経困難症の治療に使うのに保険がきかないので、「病気治療なのに保険がきかないの。保険のきく薬にして下さい」ということになり、そういう意味では使いづらい薬です。医療現場ではこんな事はしょっちゅうです。厚労省よ、しっかり頼みますよ!
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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