第5回 紀子さま入院! 前置胎盤が脚光を浴びる!
2006年8月21日  
 
   秋篠宮妃紀子さまが8月16日愛育病院に入院されました。理由は今回の妊娠が部分前置胎盤と診断されており、安静を保ち、母児の安全を保つための管理入院と言うことです。
 紀子さまは現在妊娠34週で、母児の状態にもよりますが順調に経過すれば9月6日前後に帝王切開による出産を予定されているようです。
  すでに皆様はテレビや新聞報道などによって前置胎盤という病気について理解されていると思いますが、一応簡単に説明しますと、通常は子宮の上部に付着する胎盤が赤ちゃんの通り道となる子宮口を塞ぐように下部に付着している状態を前置胎盤と云います。この状態でも子宮口が閉まっている内は問題なく経過しますが、妊娠の中期、後期になって、子宮口が少しでも開き始めると、血管に富んだ胎盤が露出しますので、出血が始まります。出血の量が少量なら、安静にして、出来るだけ赤ちゃんが育つまで待ちますが、大量出血の場合は赤ちゃんの未熟性にかかわらず緊急帝王切開で妊娠を終わらせないと、赤ちゃんだけでなくお母さんの命も危なくなる危険な妊娠です。分娩方法も赤ちゃんの通り道である子宮口を胎盤が塞いでいますので、帝王切開しかありません。診断は超音波検査でほぼ確定診断が出来ますが、時期的には24週前後、7ヶ月始め頃になります。ちなみに紀子さまの場合もその頃に発表されました。前置胎盤の場合、いつ大出血するか分かりませんので、出来るだけ長く赤ちゃんをおなかの中に入れておくため、先ず自宅安静を指示します。それでも子宮収縮や少量でも出血があれば即入院して、医師の管理下の元に安静治療を始めます。例え出血が無くても32週位からは入院管理をするのが普通です。その後大出血が始まれば、その時点で、うまく経過すれば36週位で大出血が始まる前に帝王切開を施行します。紀子さまの場合入院が少し遅かったようですが、お嬢様の眞子さまのホームスティからのお帰りを待ってというご事情があったようです。
  紀子さまの報道以後、妊婦検診にいらした患者さんに胎盤の位置についてよく聞かれます。前置胎盤の頻度はそんなに多くはありませんが、ご自分に取っては大変心配なことなので、はっきり確かめておきたいのだと思います。もちろん今までも胎盤の位置については説明していて、胎盤はここに付いていますので前置胎盤の心配はありませんなどと言っていましたが、以前はあまり反応がありませんでした。しかし、今は一大関心事です。面白いものですね。今回の紀子さまの妊娠が前置胎盤だったため、前置胎盤が世間に認知され、特に妊婦さんたちにこの病気に対する関心が高まり、理解度も高いので、そんな疑いのある患者さんには前置胎盤に対する説明が以前よりずっと、しやすくなりました。紀子さまには申し訳ありませんが、我々産科医に取ってはありがたいことです。これは正に紀子さまのおかげです。
  それで思い出すのが、ずいぶん昔のことで、私が医者になって間もない頃でしたが、皇后陛下が胞状奇胎妊娠をされたことがあります。胞状奇胎は前置胎盤よりもっと説明しにくい、一般の人には分かりにくい妊娠ですので、患者さんに説明するのに困ったものですが、皇后陛下が胞状奇胎を妊娠されたお陰で、新聞などに分かりやすく病気説明がされて、それ以後しばらくは、胞状奇胎妊娠の患者さんに美智子妃殿下の妊娠されたあの病気ですと説明すると良く理解してもらえたものでした。もっとも今では美智子妃殿下の妊娠されたあの病気ですといっても誰も分かってもらえないと思いますが・・・。このように皇室に限らず有名人が特殊な病気や珍しい病気に掛かられるとマスコミが上手に解説してくれますので、世間の認識が高まり、医者に取っては説明がし易くなって有り難いことです。なんだか他人の不幸を利用しているようで申し訳ありませんが。
  話を戻して、紀子さまが入院された愛育病院は天皇陛下の誕生を祝して1938年に開設された皇室ゆかりの病院です。この病院は一般的な総合病院ではなく、母と子に必要な医療に専門的に取り組むことを目指した周産期病院です。紀子さまの主治医の中林正雄先生が愛育病院の院長でもあり、入院先に決まったとのことでした。いずれにしても天皇ご一家の出産が宮内庁病院以外となるのは初めての事のようです。余談ですが私が星ヶ丘マタニティ病院を開設した時の目標は愛育病院と大阪の母子センターでした。現在あまりにも差があるので恥ずかしくて、口にした事は無かったのですが、愛育病院が話題になったのでつい云ってしまいました。いずれ石丸院長が近づけてくれることを期待しましょう。
  ところでおなかの赤ちゃんが男の子か女の子かは当然医師団や関係者には分かっていると思いますが、公表されていないのは誕生まで伏せておくよう報道規制がされているのでしょう。そこを何とかスクープしようという報道記者たちのあの手、この手の策略に乗って思わず漏らしてしまったら大変だなあと、他人事ながら中林先生たちに同情しています。でもやっぱり知りたいですね。誰か漏らさないかなあ・・・。段々下世話になってきました。下衆の勘ぐりはこの位にして、どうぞ紀子さま、妊娠36週まで無事に経過してください。そして元気な赤ちゃんを出産されることを心からお祈りしています。男でも女でも!
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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