第107回   70過ぎたら、教育、教養??
2015年2月20日  
 
 

 先日、高校の同級会があり、二十数名が参加して、久しぶりに昔話に花を咲かせました。昔話をしている内は良かったのですが、最近の話題に移った途端に、
「柔道部の猛者だったT君は定年退職後、脳梗塞になって今は車椅子らしいよ。」
「ゴルフ好きのI君は胃がんで亡くなったね。」
「結果的に彼の最後のゴルフになった時、一緒に回ったからジィ〜ンと来るよ。」
「303組のマドンナも今会えばやっぱりオバアチャンだろうな〜。」
「お前知らなかったのか。彼女も半年くらい前に亡くなったよ。」
「えぇ〜、知らなかった。やっぱり美人薄命かぁ。」などとろくな話題はありません。
 今日来ている連中は比較的元気だから参加出来た訳ですが、それでも全員何か不具合を抱えていて、首が痛い、腰が痛いは序の口。白内障の手術をした。前立腺がんの治療中。大腸ポリープを取ったらがんだった。胃がんで胃の全摘をした。等々まるで老人性疾患の発表会のように各人が競って話していました。聞いている私も満身創痍で、決して元気とは云えませんが、自慢することでもありませんので、グッと我慢して静かにしていました。考えてみれば皆同級生で全員74才ですので、何か有って当たり前かもしれません。
 そんな病気の話の中で一番多かったのが、前立腺がん関連の話題でした。たまたまその日は医者が私一人しか居なかったので治療法などについて聞かれました。確かに今前立腺がんの治療法は色々有るので、担当医に説明された後、どれを選びますかと云われても選択に困るだろうと思います。
 「俺は産婦人科だ。男の病気は知らん」とか云いながらも一応説明しました。要約しますと、先ず待機療法あるいは監視療法。我々の年で発病する前立腺がんは進行が遅いので、寿命との兼ね合いと云った面があります。初期段階ならすぐ治療に入らないで先ず監視しながら様子を見ようと云うことです。それは幾らなんでも心配だよと云うなら、病期にもよりますが、ホルモン療法、放射線療法、化学療法などがあります。根治治療としては、転移が無ければ手術療法が最善ですが、多くの場合性的機能を失います。それを補う新しい保存的療法として、重粒子線療法、陽子線療法、密封小線源(アイソトープ)療法などがあり、手術療法と同等の効果も期待できます。しかし、どの治療を選ぶかは、結局病期と個人の生活環境によって決まることになるでしょう。
 余談ですが、男性にとって性的機能を失うと云うことは、もういい年でセクシャルアクティビティの無い人でも苦渋の選択になるようです。女性が子宮がんで子宮全摘の宣告を受けた時、すでに子供は産みあげていても、女で無くなるような気がして悩むのと同じ心境だと思います。但し、決断は女性の方が早い様な気がします。
 それは兎も角、同級生で皆同じ年なのに10年前位より随分見た目に差が出来たような気がしました。みんな同じように頭は薄くなったり、白くなったりしていますが、老け込んで覇気のない感じの人と、まだまだつやつやして精気あふれる感じの人といます。
 どこにその差が出たのでしょうか?。今大部分の人は、定年退職して悠々自適の人生ですが、その後の生活を趣味でも仕事でも何かすることがあって活動している人と、すっかり家に引きこもってすることも無く過ごしている人との違いのような気がします。ごく少数ですが私のようにまだ引退出来ずに働いている人はそれなりに覇気もありボケていません。
 再び余談ですが、医者と弁護士は定年が無くて良いなとよく云われます。しかし、私としてはもうそろそろ引退して楽になりたいと思っています。悠々自適で、今日もゴルフ、明日もゴルフ、来週は1週間ヨーロッパ旅行の友人がうらやましい気がします。
 認知症やボケの話が出た時に、友人の一人が、「だから70過ぎたら、キョウヨウ、キョウイクが必要ですよ。」と云いだしました。「えっ!どう云うこと? 70過ぎて今更教育、教養なの??」と皆キョトンとしましたが、「今日行く所、今日用がある事がボケないために必要だと云う意味だよ」と云うオチを聞いて「なるほど!」。これには全員大受けで納得しました。実はこのネタは、あるテレビ番組で有名な評論家が云った洒落の受け売りだそうですが、それを聞いた若いゲストたちには受けなかったようで、評論家がその心を明かしてもピンと来ないようであまり笑わなかったそうです。70過ぎないと今日行く所のある事、今日用がある事の大切さが解らないのでしょうね。
 でもそんな人生も侘しいですねぇ・・・。

 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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