第10回 更年期障害、亭主の対処法 その2 2005年12月20日  
 
   更年期障害の話は意外と好評だった様で、先回別な事を書いたらお叱りを2〜3受けました。すみませんでした。さっそく不定愁訴の対応の続きを進めます。
  3番目の精神神経障害ですが、不安、頭痛、イライラ、不眠、もう少しひどくなると、無気力、うつ状態といった症状も出てきます。これは更年期の不定愁訴の一つとして出て くる場合と、更年期がきっかけとなって、元々の素因が出て来る場合があります。例えば うつ病の素因がある人が更年期がきっかけでうつ状態になる。或いは、心身症の素因の ある人が不安障害のような心身症の病気を発病する事などがあります。これを更年期障害だと思い込んで更年期障害の治療をしてもなかなか治らないこともありますので、鑑別診断が必要になって来ますが、とりあえず更年期障害で不安とか、イライラ、不眠、無気力とか起こって来た場合、実は、一番良い治療法はセックスだと云われています。
  前回にも云いましたが、とにかく大きな愛情を持って接すると言う事が大前提ですが、その最も直接的な表現として、これが出来れば、症状は多いに改善します。
世の亭主族は、女性は更年期になるとセックス離れをすると都合よく誤解をしているきらいがあります。動物学的に言えば、確かに性行為は種の保存の為にだけする事ですから、生殖能力が無くなれば性欲も無くなってしまうはずです。事実、動物は発情期を過ぎれば雄,雌が一対一でいても怪しいムードにはならない様ですが、人間は進化したのか、劣化したのか解りませんが発情期が無くなった変わりに、実は何時でも発情期みたいなもので、種の保存以外の目的で何時でも性行為をする様になリました。
  しかし、最近の女性は多くて一生に2〜3人しか子供を生みません。と言う事はこの子作り中の短期間を除いて、それ以外の時は何時も妊娠の恐怖を持ちながらのセックスになります。女性の場合実際に身に振り掛かってきますので、男が考えているよりずっと妊娠の恐怖は切実ですから、今いちのめりこめない気分だと思います。
  ところが更年期になって、生殖能力が無くなると妊娠の恐怖から開放されて出来ると云うことで、逆に性欲が旺盛になる人も多いと云われています。しかし亭主族は勝手に更年期になると、性欲も無くなると決め付けて外に目を向けたがるようですが、それは間違いです。
  しかしながら、この精神神経症状が更年期による不定愁訴ではなくて、心身症の症状として出ている場合は、セックス療法は無効です。本人はまったくその気になれませんので逆効果になります、この辺を見極めるのが亭主の難しい所です。
  それではこれらの症状が更年期の不定愁訴では無く、仮面うつ病、うつ病、或いは不安障害などの精神疾患の場合は、三つの因子を考えなければなりません。
  一つは元々の心理、性格因子、二つ目は社会的、家庭的環境因子、そしてもう一つが内分泌因子です。元々、几帳面で温和、自己犠牲的で内向的、妥協的で社会適応良好な、若い時には所謂良い性格だった人の方が更年期のホルモン変動と重なって発病易いようです。
一方、ずぼらで、いい加減で、色々きちんとしてくれない、とんでもない奴と結婚してしまったと思って居る亭主も多いかと思いますが、こんな人はうつ病にはなり難く、多少更年期障害は出ても、大した事も無くずぼらのままで通過して、老後はその方がよかったと思ったりする事もあります。
  丁度この頃は、家庭的にも環境の変化が起きる頃で、例えば子供の結婚とか、亭主の定年、それに伴う経済的問題、亭主の浮気、対人関係、などが誘引となります。
これを、”空の巣症候群”、又は”荷下し症候群”と言っています。この場合の亭主族対応は、まず浮気などをしている人は、間違ってもばれないようにする事.無気力に対してあまりがみがみ言わないでそれを認めてあげるようにして下さい。定年退職をした人は趣味でも何でも良いから、亭主自身も活力のある生活、これからの人生にまだやる事があるんだ、目的があるんだぞ、と自分自身も発奮して、しかも君と共同して進みたいんだと奥方にも目的を持たせて巻き込む事が大事です。このような事で、症状も出難いし、出ても軽く早く治るはずです。
心療内科とか精神科の医者に必ず云われる事ですが「家族の協力が必要です。そうでないと治るものも治りません。」言い換えれば、家族は(特に亭主は)我慢しなさいと言う事です。それでは益々我がままになって事態は悪化するような気がしますが、対応としては、怒ってもいけない、注意しても駄目、励ますのも程々にして、ただひたすら亭主としては、優しく肯定してあげる事が大事です。ということですので大変です。
  以上色々亭主の対処法を述べましたが、残念ながらこれだけで更年期の不定愁訴が全て治ると云う訳にはいきません。もう一方で医学的治療も必要になります。総じてホルモン補充療法は良く効きますが、治療法は単純ではありませんので個々に医師の診断を受けてください。参考までに簡易更年期指数表を出しておきましたので、奥様の点数を計算して、点数によっては病院へ行くようにアドバイスしてあげて下さい。


簡易更年期指数表
下記の質問を読んで、最近のあなたの状態にもっともよくあてはまると思われる段階を選び、点数を付けて合計してください。
症状
症状の程度
点数
1. 顔がほてる
10
6
3
0
2. 汗をかきやすい
10
6
3
0
3. 腰や手足が冷えやすい
14
9
5
0
4. 息切れ、動悸がする
12
8
4
0
5. 寝つきが悪い、または眠りが浅い
14
9
5
0
6. 怒りやすく、すぐイライラする
12
8
4
0
7. くよくよしたり憂うつになることがある
7
5
3
0
8. 頭痛、めまい、吐き気がよくある
7
5
3
0
9. 疲れやすい
7
4
2
0
10. 肩こり、腰痛、手足の痛みがある
7
5
3
0
 
合計点
 
自己採点の評価法
0〜25     異常なし
26〜50     食事、運動に注意
51〜65     更年期外来受診必要
66〜80     長期の計画的治療必要
81〜100     精密検査、長期間の計画的治療並びに対応必要
 
 
 
 
 
 
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