第46回   待望!HPVワクチン発売開始!
2010年1月20日  
 
   皆さん、明けましておめでとうございます。松の内も過ぎて“明けましておめでとう”と云うのは、少し間が抜けた様な気がして毎年逡巡するのですが、でも、このコラムに関しては今回が新春初めてですので、敢えて今年も、“明けましておめでとうございます”と申し上げます。御託はとも角、本年も変らずご愛読のほどよろしくお願いいたします。
 ところで、皆さんはこのお正月休みを如何お過ごしになりましたか。もちろん有意義にお過ごしになった事と思いますが、私も開業以来初めて名古屋を離れてお正月3ヶ日を沖縄で過ごしました。お正月に家を離れて旅行するのは皆さんに取ってはごく普通の事で大袈裟に騒ぐほどの事でも無いと思いますが、私に取っては画期的な素晴らしい出来事なのです。開業以来ずーっと院長でしたので、他人の嫌がる元旦当直を仕方なく続けていました。その他の日も待機していましたので、正月に名古屋を離れるなど考えもつかなかったのです。ところが4年前に理事長に退いて、それ以来、元旦当直は石丸院長がしてくれる事になりました。それでもなかなか決心が付かなかったのですが、やっと今年、意を決して沖縄へ脱出と洒落た訳です。沖縄は東海岸のカヌチャベイ・リゾートに行きました。夜、那覇に着いた事もあって真っ暗な道路を目的地に向かってひた走っていたのですが、突然敷地内一杯に広がる壮麗なイルミネーションの樹海が目の前に現れ、お伽の国へ来たようで大感激でした。ただ気温は暖かくは無くて、元旦深夜のカウントダウン・イベントなどは特に寒くて名古屋から持って行った真冬のコートが役立ってしまいました。
どうでも良い私事が長くなりました。本題に入ります。
 待望の発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが昨年12月22日から発売開始となりました。これは皆さんご存知の子宮頸がん予防ワクチンです。以前にもこのコラム(第12回院長コラム“子宮頸がんは予防できる”2006年2月20日)で書きましたが、子宮頸がんの原因は発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によると云う事が解っています。このウイルスは性交経験のある女性では誰でも感染しうる、ごくありふれたウイルスでほとんどの人が一度は感染しますが、大部分は自己免疫力によって1年から2年以内に自然に排除されます。しかし約10%の人に感染が長期化し、持続感染を起こして子宮頚部の細胞に異形成を生じる事があります。その多くはやがてウイルスが消滅し異形成も治癒しますが、ごく1部が10年位の歳月を経て異形成から子宮頸がんに進行するのです。以前のコラムでは、子宮頸がんの早期発見のために、HPV検査と細胞診を併用した子宮頸がん検診を受けて下さい。それも初交年齢から5年以内にHPV検査を始めてください。その後、定期的に検診を受ける事によって浸潤がんになる前の高度異形成や上皮内がんの状態で発見し、頸部円錐切除術などの前がん治療を施せば、子宮も卵巣も温存出来、妊娠、出産も可能ですと書きました。
ところが今、HPVワクチンが完成した事によって子宮頸がんそのものが予防できると云う画期的な時代になったのです。10年前には子宮頸がんの原因も解らなかったのに、今や予防が出来るのです。医学の進歩は凄いですね・・・!
実施に当たってはセクシャル・デビュー前の女性に接種するのが一番予防効果が確実ですので11才から14才の女子が優先対象になっています。蛇足ながら、最近はセクシャル・デビューが早くなりましたので、20代後半の若年層にも子宮頸がんが発病するようになりました。今や子宮頸がんは若い人でも罹患する病気だと自覚してください。一方、性交経験のある人でも、HPV検査陰性ならもちろん予防効果は同じです。又、HPV検査陽性の人でも、新たな感染に対する効果はありますので接種の価値ありとされています。ただ、あくまでHPV感染を予防する物であって、感染者の予後を左右する物ではありませんので、異形成や上皮内がんに対する治療効果はありません。この点は誤解の無い様にお願いします。
 その他にも、実際の接種に当たっては、幾つかの注意点、不都合があります。先ず、1回だけの接種では予防効果が不充分で、1ヵ月後、半年後と合計3回の接種が必要となります。これでやっと長期の抗体維持が出来るとされていますが、それでも6〜7年、長くて10年と云われていますので、抗体を維持するためには10年後に再接種が必要となります。又、現在発売されているHPVワクチンは発がん性HPVの内、16型・18型の感染を予防するのみで全ての発がん性HPVの感染を防ぐわけではありませんので、このワクチン投与で子宮頸がんの発病を完全に抑えられる訳ではありません。ですから、ワクチン接種後も定期的に子宮頸がん検診は受けてください。ただ、子宮頸がんの原因HPVはほとんどが16型・18型ですのでほぼ予防できるとは云われています。一方、子宮頸がんを撲滅するためには、世界レベルでのワクチン標準接種が必要と思いますが、例によって、日本の厚労省は任意接種としています。欧米諸国など、国によっては12才、または12〜14才の全女性に国費による標準接種を実施している所もあります。全世界がそうすれば、何十年か先には子宮頸がんが地球上から消えて無くなる可能性もある訳で夢の様なすばらしい話ですが、現実には、任意接種で、しかもかなり高価な価格にも関わらず、公費負担も侭ならず自治体任せとしていますので、日本では当分の間、個人的な自己防衛に留まる事になりそうです。
 余談になりますが、当院では去年の暮れに予約受付を始めましたが、高価な事もあってか、Hibワクチンの時の様に予約殺到ではありませんでした。又、疾患は成人女性の疾患ですが、接種対象者が主に小児科の年令なので、産婦人科か、小児科かどちらで担当するかと云う問題もありますが、当院ではとり合えず産婦人科が担当する事にしました。お子さん達の将来のために、そして皆さんの予防のためにも、ぜひワクチン接種をされるようお勧めします。     
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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