第112回   クラミジア感染症、若年妊婦に高率!
2015年7月21日  
 
 

 先日の中日新聞に“妊婦2万4000人が感染か! クラミジア、若年層で高率”と云う見出しの記事が載っていました。これは公益財団法人「性の健康医学財団」が日本産婦人科医会の協力を得て、2013年10月から2014年3月までに妊婦健診を受けた325,771人を対象に行った大規模調査の集計結果ですが、性感染症である性器クラミジアに2.4%に相当する7,690人が感染している事が解り、妊婦全体ではおおむね24,000人が感染していると推定されると発表しました。年代別の感染率は19歳以下が15.3%、20〜24才が7.3%、25〜29歳が2.2%、30〜34歳は1.2%、35歳以上は0.8%で若年層に高率に感染しており、若い妊婦を中心に想像以上に広がっていて、妊婦以外の一般女性も相当数が感染していると推定されると解説しています。
 性器クラミジアはクラミジア・トリコマチスと云う細菌が原因の性感染症ですが、妊娠中に罹ると一般的な症状の他に流産や早産のリスクが上がり母子感染も起こしますので、妊婦全例検査項目の対象となり、2011年から公費負担で妊婦健診時に検査が実施されることになりました。当院でも全例の妊婦さんに性器クラミジア検査を施行していますが、0.5%弱の罹患率で全国平均よりかなり低い値ですので、当院の患者さんは質が良いのかなと(こんな書き方をすると逆差別だと叱られそうですが)何となく自慢げに話しています。
 それでは性器クラミジアについて少し解説します。原因菌は先ほども書いたように、クラミジア・トリコマチスと云う細菌です。性感染症ですので、一般的には性行為によって感染します。特に10歳代の若年層に罹患者が多いのは、感染予防が不充分のままで性行為が行われている可能性が高く、しかも不特定複数との接触があるためだと云われています。それにしても10歳代の妊婦さんで15.3%も感染者がいるとは驚きです。妊婦でこれですから妊娠していない10代はもっと多いのではないでしょうか?。今の若い人の性行動はどうなっているのでしょう?。性器クラミジアは性感染症の中では、最も多く見られる病気ですが、それでも風俗関係など特殊な女性では無く、ごく普通の若い女性にこれだけ蔓延しているのは残念です。
 余談ですが(余談では無く大事な事だと思いますが)、性感染症予防については、避妊の知識も含めて、中学・高校生に徹底的に教育をする必要があると思います。しかし、現状はあまりうまく行っていません。それは文科省の役人や教育委員会等教育界の指導者の考え方が堅いからだと思います。もちろん情操教育も大切で必要でしょうが、今の性行動の現実を知れば、望まない妊娠を防ぐこと、性感染症に罹らない知識を与えることも大事です。指導者の方々にはその辺の所を理解され、堅い頭を切り替えて既定概念を覆す英断が切望されます。
 本題に戻ります。一般的には感染後数週間で発症しますが、女性の場合最初は無症状な場合が多く、進行すると子宮頸管炎が始まり帯下が多くなります。更に進むと子宮内膜炎、卵管炎を起こし子宮外妊娠や不妊症の原因になる事があります。又オーラルセックスによって、咽頭炎を起こすこともあり、最近は膣だけでは無くて口腔内検査も必要になっています。又、妊娠中は絨毛膜羊膜炎をおこし流産、早産の原因になることがあり、産道感染すれば、新生児が結膜炎、肺炎を発症することもあります。
 性感染症ですので、当然男性にも罹患します。男性の症状としては、尿道炎が多く、尿道から膿が出て排尿痛を伴います。進行すると前立腺炎、精巣炎を起こすことがあります。
 治療法は抗生剤投与が主流で、特にマクロライド系のジスロマックと云う抗生物質が特効薬的に効きますので、ほとんど1回の投与で完治します。妊娠中も使用できますから妊婦さんも比較的治療は簡単です。只、クラミジアに感染していると、他の性感染症やHIVの感染率が飛躍的に高くなることが解っていますので早めの治療が大切です。又、性感染症ですので男女双方の検査をして、結果によっては双方の治療が必要となります。
 いずれにしても、特に若い人は余計な性感染症などに罹らないように注意して、早く良い子を産みましょう!

 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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