第121回   認知症に罹らぬように脳トレに励もう!
2016年4月20日  
 
 

 4月も半ばを過ぎ春爛漫となりました。世間では新年度、新学期が始まって、新社会人、新入生が誕生し、夢と希望に胸膨らませてスタートしたこの時期に、こんな話をするのも無粋ですが、今回は認知症について少し考えてみたいと思います。
 通常、この時期は木の芽どきと云って、木々が新しい芽を息吹く清々しい時ですが、人間はどう云う訳か精神的に不安定になって、感情の起伏が激しくなり易い季節です。それが原因かどうかははっきりしませんが、お年寄りでは、認知症が発症しやすい時期でもあります。
 よく、人の名前や固有名詞、或いは最近の出来事、食べたものなどが思い出せない時に、”俺もボケた。認知症が始まった。”と云いますが、これは単なる”物忘れ”で、加齢に伴って起こるごく自然な老人性変化と云っていいものです。”物忘れ”と”認知症”の決定的な違いは”忘れた”と云う自覚があるかどうかです。
 認知症の場合は、例えば先ほど食べた昼食をまだ食べていないと言いはり、出来事や体験そのものを忘れてしまう状態です。しかし、昼食のおかずが何だったか物事の一部について思い出せないのは普通の物忘れと考えて良いようです。
 実は私も後期高齢者の仲間入りをして、先日運転免許証の予備試験で認知症の検査を受けました。16個の絵を見せられて、それからしばらく別な質問を受けた後に、何が書いてあったか答えると云う単純なものでしたが、なかなか思い出せなくて10個くらいしか答えられませんでした。これは単なる加齢による”物忘れ”なのか?。それとも”認知症”の始まりなのか?・・・。逆に20代なら全部答えられたかどうかも心配ですが・・・。
 認知症とは何らかの原因で脳の細胞の一部が死滅したり、働きが悪くなったりして、脳に障害を起こして認知機能が低下し、生活する上でさまざまな支障が出ている状態を云います。中核症状としては記憶障害が中心で、直前に起きたことを忘れてしまう記憶障害が顕著です。又、筋道を立てた志向が出来なくなる判断力の低下、時間や場所、名前などが分からなくなる見当識障害などが出ます。中核症状の他に周辺症状として、妄想,幻覚、暴力、徘徊などを起こし、同時にうつや不安、無気力など精神症状も現れます。
 その患者数は年々増えて、厚生労働省研究班の調査によれば、2012年の時点で65才以上の高齢者の内およそ462万人が発症し、認知症の前段階である軽度認知障害にあたる人の数も400万人はいると推計されています。又、2025年には認知症患者が700万人を超えると予測されていますが、これは65才以上の高齢者の5人に1人が認知症になるということですので、他人事ではありません。
 私どもの介護老人保健施設、星ヶ丘アメニティクラブには、認知症専門病棟がありますが、開院当初は(20年前)それほど需要はありませんでした。しかし、最近は利用者が急増しています。やはり記憶障害だけでは無くて、幻覚にさいなまれるのか、暴言、暴力をふるう人もおり、徘徊用回廊も徘徊する人であふれています。この人たちの介護は本当に大変で、何時も気長に優しく対応しているこの病棟の看護師や介護士たちには仕事とは云え良くやってくれていると頭が下がります。
 認知症にはその原因によってさまざまなタイプがありますが、代表的なものがアルツハイマー型認知症です。これは認知症の中で一番多いとされ、男性より女性に多く見られます。脳内にたまったアミロイドβやタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が神経細胞を破壊し、記憶をつかさどる海馬を中心に脳が委縮して症状が現れます。症状が出るかなり前から脳の異変は起こっているので、早期発見、早期治療が有効です。次に多いのが、脳血管性認知症で、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などで、脳の血管が詰まったり、破れると云った血管障害によって起こります。もう一つ多い原因がレビー小体型認知症です。レビー小体と云う特殊なたんぱく質が脳にたまり脳の神経細胞が破壊されて症状が起こります。このタイプは男性のほうが多く女性の約2倍と云われています。その他、若年性認知症、アルコール性認知症、まだら認知症などがあります。
 さて、認知症は罹ってしまうと治療可能と判明している一部のタイプを除いては効果的な治療法がありませんので、罹らないように予防することが大切です。それには一にも二にも脳を働かせることが大事ですから、認知症予防のための脳トレーニングを今から始めましょう。例えば、パズル、計算、読み書き、麻雀,囲碁、将棋などを楽しく行うことが脳の活性化に繋がります。それから、糖尿病や脂質異常、高血圧、肥満などの生活習慣病が認知症のリスクを高めますので気を付けましょう。又、そのための食生活の改善も必要です。一方で有酸素運動やウォーキング、筋トレなど適度の運動も予防に有効です。
 残念ながら、罹ってしまってからのリハビリは在宅ではなかなか難しいので適切な施設での介護が必要となると思います。
 お互いに認知症に罹らない様に脳トレに励みましょう!!

 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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