第76回   シジミの悲哀とサプリメント!?
2012年7月20日  
 
   先日、ロータリーの食事会で、口直しに、シジミの赤だしが出てきました。油っぽい肉料理の後でのシジミ汁は、胃の中を洗浄してサッパリさせてくれる毒消しのようで私は大好きですが、同席の友人たちも同感で、しかもこれは高級なハマグリではダメで何時もは軽んじられている最も低級なシジミでなくては美味しくないと云うことでも意見が一致しました。しかし、赤だしの中のシジミの身を食べるかどうかでは意見が分かれました。
ああだこうだと散々屁理屈が飛び出しましたが、結局説得力のある根拠は見当たらず、大方の一致を見たのが関東は食べないが、関西は食べる。名古屋はどちらもありではっきりしない。と云うこと位でした。翻って私はどうかと云いますと、朝ご飯でシジミの味噌汁が出てきた時は身も食べますが、先日のように夜しかもお酒の席で出てきた時には、汁を吸っているだけのような気がします(どっちつかずの典型的な名古屋人と云うことになりますね)。
大の大人がくだらないことでよく議論しているなと思われるでしょうが、酒の席では、この程度の事を意外と真剣に議論しています。話は益々広がって、それにしても身を食べてもらえないシジミは可哀想だ。食物連鎖の自然界の法則から云って、弱肉強食の原理から強い物に食べられて一生を終わるのが宿命なので、万物の霊長の人間様に食べられるのなら本望だろうに、中々その幸運に恵まれない。貝の中でも最も下等なシジミは普段はほとんど顧みられず、大半は海に埋まって死んでしまう。運よく漁師に取られても、笊からこぼれて日干しになったり、移動中に捨てられたりと、幾多の試練を乗り越えて、やっと人間様の食卓に出されたのに、エキスだけ吸われて、身は捨てられたので浮かばれない。ハマグリやアサリと同じ貝なのにどうしてこんなに虐げられるのか?等々と散々シジミの悲哀が論じられました。
しかし、最近シジミが名誉挽回を図っています。それはあの草野キャスターのテレビコマーシャルで売り出した一粒に300個分のシジミを凝縮したサプリメントとして登場してきたからです。オルニチンを始め、肝臓に良いアミノ酸やビタミン類が多く含まれていて、朝、元気が出るようですが、私は飲んだ事がありませんし、身近に飲んでいる人がいませんので、効くかどうかは知りません。でも少なくともこれでシジミが捨てられることは無くなったでしょう。
話は飛びますが、最近テレビでサプリメントのコマーシャルが盛んに登場します。中高年向けの体力増強サプリの宣伝が最も多く、アンチエイジングに効くらしい色々な酵素やアミノ酸などが濃縮抽出され、一粒で普通の食事の何倍もの量が取れて、元気になるよと元有名タレントが微笑みかけてきます。
余談ですが、この種のCMのおかげで、旬を過ぎてお呼びでなかったタレントの出番が増えて、一番喜んでいるのは彼らではないかと勘ぐってしまいます。でも,しろうとの皺だらけのおばあさんが出て来るよりは旬を過ぎてもそれなりに綺麗な女優さんの方が見ていて楽しいし、それにしろうとを使っているようではコマーシャル代をケチっているようで薬のイメージも落ちてしまう気がします。
いずれにしても、この種のサプリを買う人は多いようで私の友人にもかなりいます。しかも買いだすとあれも欲しい、これが足りないとなるようで、どんどん種類が増えていくみたいです。十何種類も飲んでいるとそれだけでおなか一杯になってしまって、食事が食べられないのではないかと心配ですが、それでは本末転倒です。尤も、最近は食生活が偏っており、冷凍食品など保存食が多い人は、欠けた栄養素をサプリで補った方が良いかもしれません。バランス良く?サプリメントを取っていれば、必要な栄養素は充分補われて、食事は二の次でも好いのかも・・・?(逆転の発想?)。 以前は、妊婦さんにサプリメントについて聞かれた時、バランスの良い食事を取っていれば、特にサプリメントで補うこともないでしょう。と答えていましたが、最近は少し事情が変わってきました。妊娠中にサプリメントを飲んでも補ってもらいたい栄養素が多少あるのです。
先ず代表的な物が葉酸です。葉酸は水溶性のビタミンB群の一種で、細胞の生産や再生を助け、細胞が新しく作り出される場では必須の栄養素です。葉酸が不足すると、胎児の細胞分裂がさかんな妊娠初期では、先天性の疾患をまねく危険があり、特に、"二分脊椎症"などの神経管閉鎖障害の発症が高くなると云われています。また、授乳期では、赤ちゃんの発育に遅れをおよぼす危険性があります。妊娠を計画している女性は1日400μg、妊婦さんの1日推奨量は440μgと云われています。葉酸はホウレンソウ、ブロッコリー、レバー、豆類などに含まれていますが、ほうれん草で葉酸400μgを摂るには、約200g、1把分が必要です。決して少ない量ではありませんので、サプリで補給するのも良い方法です。尚、葉酸の過剰摂取による疾患は認められていませんので、積極的に摂取してください。
もう一つは鉄です。妊娠中は胎児への移行が盛んで、妊婦さんは鉄欠乏性の貧血に傾きます。妊婦さんの1日鉄必要量は、非妊時の約1.6倍の20rです。鉄も葉酸と同じような食物に含まれていますが、なかなか食事だけで摂取するのは難しいので、これもサプリを上手に利用した方が良いかもしれません。その他ビタミン類も特に造血に必要なB12などは不足しがちですので、サプリで補充するのも懸命な策です。
以前は、医者はサプリメントを軽視する傾向がありましたが、このように足りない栄養素を補充するために最近はサプリメントを有効活用する方向に変わりました。
世の中は時代と共に変わるので、何時までも固定観念でいては、頭が固いと置いて行かれてしまいます。年は取っても頭は柔軟に!
シジミの悲哀から、年よりの悲哀に話が飛んでしまいました。駄弁はこの辺で・・・!
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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