第17回 夏は暑いもの。但し熱中症にはご用心。 2007年8月20日  
 
   夏は暑いものと決まってはいますが、今年の夏は特に暑い。歴史的猛暑に見舞われていると云う事で、とうとう8月16日には、昭和8年7月25日に山形市で観測した、40,8度Cを74年ぶりに上回る日本の観測史上最高気温40,9度Cを記録しました。それもすぐ傍の岐阜県多治見市で発生したのだから、他人事ではありません。勿論名古屋も40度近くになっていたようですが、たまたまその日は、病院がお盆休み明け初日だったので、朝から外来が忙しく、午後も手術や事務処理などでバタバタして、一日中冷房の効いた院内で過ごしてしまい、外の暑さは残念ながら実感出来ませんでした。地球温暖化現象で最近は年々暑くなっている筈なのに、74年ぶりの新記録と聞くと、ちょっと不思議な気もしますが、そんな珍しい事なら、外に立って暑さを実感してみたかった気もします。テレビのレポーターが、多治見からの報告で「立っているだけで目に汗が入ってきます」と言っていましたが、おそらくアスファルトジャングルの市街地ではヒートアイランド現象の影響もあって、気象台発表の温度より2〜3度は高かったと思われますので、服を着てサウナにいるような状態だったのではないでしょうか。しかし、そんな呑気な事を言っている場合ではなくて、外に長く居れば熱中症になってしまいます。あの日も熱中症で亡くなった人が全国で13人と報道されていました。
 熱中症とは、暑熱環境において生じる身体の適応障害の病態を云います。元来人間の体温は視床下部にある体温中枢によって一定に保たれていますが、高温、多湿の環境の中で水分の補給を行わず、長時間活動を続けると、体温の上昇と脱水、循環不全を生じ、重症例では脳神経の障害、あるいは肝臓、腎臓など臓器障害、又は血液凝固障害、筋肉の融解などが起こる極めて死亡率の高い危険な病気です。以前から学校スポーツにおける死亡事故が問題となり、スポーツ医学の分野で研究されて来ましたが、最近では労働災害としての熱中症、あるいは高齢者の熱中症発生が多いことが認識されています。症状としてはこむら返りや、立ちくらみだけの軽症(T度)から、強い疲労感、めまい、頭痛、嘔気、嘔吐、下痢、軽度体温上昇などの症状が出る中等症(U度)、そしてU度の症状に加えて、38度以上の高熱と脳神経症状(意識消失、せん妄状態、痙攣など)が出現する重症(V度)に分類されます。治療としては、軽症では先ず水分の経口摂取です。それも真水よりスポーツドリンクのような塩分と糖分を含んだものが良いと思います。中等症では水分補給プラス身体の冷却です。先ず衣服を脱がせ、氷嚢などで首筋、腋の下、足の付け根など大きな動脈の触れる部位を冷却します。又直射日光を避け、涼しい所(出来れば冷房のある所)で休ませるのが良いでしょう。しかしこの段階の処置を誤ると重症になってしまうので、早めに119番して病院へ送ったほうが賢明だと思います。重症の熱中症は30%以上の死亡率です、念のため・・・。
 妊娠は唯でさえ血液循環が悪くなっていますので熱中症になりやすい要因の一つです。
ですから今妊娠中の皆さんは、熱中症に罹らない様に特に注意して下さい。ではどうすれば防げるか。それは先ず第一に、炎天下に長時間居ないことです。出来れば短時間でも避けたほうが良いでしょう。ましてやスポーツなどはしないことです。どうしても外出するなら、日傘をさして下さい。そして通気性の良い、出来れば白っぽい服を着ると良いでしょう。更に最も大切なことは、水分補給です。短時間に少しずつでも水分補給をして下さい。今はペットボトルと云う便利なものがありますので、お行儀が悪いと思わずに買い物の途中でも時々飲んでください。それでも立ちくらみなどがあったら、遠慮せずに病院に来てください。大事に到る前に適切な処置をしましょう。
 色々、熱中症についてアドバイスしましたが、他人には偉そうに話しても自分では守れないのが、医者の不養生と云うか、私の情けない所で、勇気が有るのか、無謀なのか、事も有ろうに、連日の40度越えで話題沸騰の岐阜県多治見市のゴルフ場に出かけ、日曜日にゴルフをしてきました。それも4人とも65歳以上の御爺仲間で廻りました。家族の中止勧告を無視して出かけた手前もあり、充分水分補給をして、日傘をさして、首筋を冷やしながらの万全の熱中症対策を施してのラウンドでしたが・・・。その日も40度までは上がっていなかったようですが、大変暑い一日でした。しかし何とか全員無事にラウンドを終了しましたので、こうして話題に出来ますが、もし一人でも倒れて救急車を呼ぶことにでもなっていたら、洒落にもなりません。
年寄りの冷や水には気をつけましょう! 反省!!
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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