2014年2月20日
第95回
ソチ・オリンピック。採点競技は怖い!!

 ソチ・オリンピックもそろそろ終盤に入りましたが、皆さんの体調は如何でしょう? 睡眠不足で体調不良の方もいらっしゃるのではないかと推測します。私は職業柄、夜中に起こされたり、不規則な睡眠には慣れていますが、それでも10日も続くと、さすがに多少バテ気味です。折角、朝方まで応援しているのに結果が伴わないと、“くたびれもうけ”のような気がして、“もう明日は観てやらない!”と思うのですが、起きている時間にLIVEが始まると、ツイツイ最後まで観てしまい、気が付けば午前2時~3時と云うことになっています。友人が“ビデオを撮っておいて、興味のあるものだけ、昼間に観たら”とアドバイスしてくれましたが、それではハラハラ、ドキドキの興奮がありません。やっぱりスポーツは贔屓の選手やチーム(オリンピックの場合は日本選手)を実況で観ながら必死で応援し、勝って喜び、負けて悔しがるのがファンの醍醐味だと思います。しかし、残念ながら今回の日本勢は我々の期待を裏切り悔しい思いをする場面が多かったことは否めません。マスコミの中には“税金を使って強化してもらったのに情けない”と云うような論調もありますが、それは選手にはあまりにも酷な判断だと思います。国の代表として派遣されたことは充分に認識して、逆に凄い重圧を感じながら戦った結果ですから、辛口スポーツ評論家を自称する私でも、結果は兎も角、10代~20代の若者たちの、その根性を褒めてやりたいと思います。逆にマスコミがこぞって希望的な戦前予想をしたために、選手には余計なプレッシャーが掛かり、我々も過大な期待を掛け過ぎて、がっかり度が大きいという側面もあります。
 さて~・・・。それにしてもモーグルの上村愛子選手は本当に残念でしたね。皆さんもそう思われたと思いますが、テレビで観た限り、決勝の1本は、ほとんどノーミスで滑ってタイムも1番早かった上村選手の方が、最後に滑ってターンで2~3度ミスした世界王者のハナ・カーニー選手より上に行くだろうと思いました。ところが結果はカーニー選手の方が得点が上で3位に入り、最後の最後で上村選手はメダルを逃してしまいました。多くの皆さんが“えっ!どうして?”と思われたでしょうが、私も“それは無いだろう。いくらネームバリューがあるからと云ってカーニー選手にエコ贔屓するなよ!だから採点競技は嫌だよな・・・”と叫んでいました。この結果に疑問を持たれた方が多かったのでしょう。翌日からテレビ各局が採点方法について詳しく解説していました。それによると上村選手とカーニー選手ではターンの形が違い、上村選手の高速ターンよりカーニー選手のスライドターンの方が基礎点が高いので、多少ミスしてもカーニー選手の方が得点が上回ったと云うことのようです。それなら上村選手もスライドターンで滑れば良かったのにと思いますが、ルールが変わったからと云って急に滑り方を変えるのも大変なようですので、仕方がなかったのかもしれません。競技関係者には納得の順位だったかもしれませんが、我々素人フアンには納得がいかない結果でした。
 それにしても、冬季オリンピックは採点競技が多すぎます。スキーとかスケートとか競技の性格上仕方がないかもしれませんが、陸上競技のように用意ドンで一緒にスタートして最初にゴールした選手が勝ちと云う方が解り易くていいですね。見る方も解り易いですが、競技者も記録よりも相手に勝つというスポーツ本来の闘争心に燃えるだろうと思います。アルペンスキーなどは採点競技ではありませんが、一人で滑るタイムレースですので、勝ったか負けたかは記録を見るまで解らないと云う不満が残ります。その点スノーボードクロスとか、竹内智香選手が2位になったスノーボードパラレル大回転などは何人かが一緒に滑って先にゴールした方が勝ちと云うレースですので、日本選手が勝っても負けても観ていて興奮します。
 それに比べて採点競技は審判員の主観が入るような気がして心配です。しかもどんどんルール改正があり、基礎点が変わるので、選手の対応も大変なようです。でも最近は各競技とも細かく採点基準が示されており、私情が入る隙間は少なくなっているとのことです。
 逆にそれを旨く活用したのがフィギュアスケート男子シングルで優勝した羽生結弦選手だと思います。難度の高い種類を上手に組み合わせたプログラムで、多少ミスをしても高得点が出るように組んであったようです。例えば最初に飛んで転んだ4回転ジャンプは4回転サルコーと云って他の選手が飛ぶ4回転トウループより難度が高く基礎点が多いので、回転不足にさえならなければ、たとえ転んで1点減点されてもなお高得点が取れると云うことになります。しかも、得点が1.1倍される後半に難度の高い種目を入れる構成になっていました。これはブライアン・オーサー・コーチのプログラミングの勝利とも云えますが、もちろん、その構成を見事に演じきった羽生君の実力があってのことで、彼の優勝にケチをつける積りは微塵もありません。羽生結弦選手優勝おめでとう!
 一方、スキージャンプ・ラージヒルの葛西紀明選手の2位は悔しい思いがします。飛距離だけで云えば葛西選手の方が優勝したストッホ選手より1m長く飛んでいます。ジャンプ競技は如何に遠くへ飛ぶかという競技だと思いますので、飛形が綺麗かどうかなんてあまり関係ないような気がします。例えば、マラソンで走り方が汚いから1着でゴールしたけど2着だなんて聞いたことがありません。まあこれは極端としても、本来飛距離を争う競技だから飛計点の比率をもう少し下げたらどうかなと思いますが如何でしょう。
 このコラムが皆さんの目に触れる頃には、女子フィギュアスケート・ショートプログラムの結果が出ているだろうと思います。我らの愛知3人娘、特に浅田真央ちゃんにはバンクーバーの雪辱を遂げてもらいたいと願っていますが、私の予想では、相手は金妍児選手ではなく、ロシアの15才、リプニツカヤ選手のような気がします。8年前、真央ちゃんは同じ15才でも9月生まれのため年齢制限に掛かってトリノオリンピックに出られませんでしたが、あの時出ていればピョンピョン飛んで優勝していたかもしれません。6月生まれで、ちょっとの差で出場できるリプニツカヤ選手に運が向いているような気がして心配です。
 嫌々、こんな不吉な妄想は忘れましょう。真央ちゃん頑張れ!他の選手も皆頑張れ!