2014年11月20日
第104回
快挙!ATPファイナルに錦織圭出場!!
ATPファイナルの出場権はランキングポイントの上位8人が選ばれる訳ですが、競技によっては、このランキングがすっきりしないことがあります。例えば、ゴルフだとアメリカツアー、ヨーロッパツアー、アジアツアー、その他国別の日本ツアー、オーストラリアツアー、韓国ツアー等沢山のツアーがあり、それぞれのツアーで戦っている選手をひとまとめにして世界ランキングを決めるので、“えっ!どうしてこの選手がランキング5位なの?”とか、逆に“どうしてあの選手が入っていないの?”と云った不公平感を感ずることがありますが、テニスは世界統一ツアーですので、ポイントがそのままランキングに繋がり、公正ですっきりしています。ですから錦織圭は正真正銘の世界ランキング5位で、それだけでもすごいと思います。今年はランキング3位のナダルが故障で辞退しましたので9位のチリッチまでの8人の争いとなりました。1次リーグ第1戦で今まで一度も勝ったことの無いアンディ・マリーを接戦の末に破りました。特に第2セットの錦織はマリーを圧倒していましたので、調子も良いが、実力も付いたなと思わせました。ところが次のフェデラー戦では、見せ場も無く負けてしまい、ビッグ3とは未だ差があるなと感じましたが、やはり圧力が凄いのでしょうね。マリーには打てたショットがフェデラーには押されて打てなかったように見えました。同じ錦織が相手によって強く見えたり、下手に見えたり面白いものですね。ところが同じ相手に弱く見えたり、強く見えたりしたのが3戦目のフェレール戦でした。第1セットは前日のフェデラー戦のようにイージーミスを繰り返していましたが、第2セット中盤から段々強い錦織になり、第3セットに入ってからは、解説の松岡修三さんがゾーンを超えて超ゾーンに入ったと云っていましたが、正にそんな感じで誰も近付けないような完璧なテニスをして勝ちました。ところで、第3戦の相手は本当はラオニッチの筈でしたが、肘の故障で急遽、試合の1時間位前に棄権しました。錦織の不戦勝になるのかと思ったら、この大会にはこんな時のために事前にリザーブの選手が用意してあり、それがランキング10位のフェレール選手だったのです。
余談ですが、彼は期間中の待機料だけで1000万円近く貰ったそうです。試合に出たのでもちろんプラス・αが有りましたが負けたので大して増えなかったでしょう?。
同じようなことが決勝戦でも起こりました。前日、ワウリンカとスイス勢同士の熱戦を制したフェデラーが背中の故障で決勝戦を回避しました。リザーブ制度は試合数が少ないので折角見に来たお客さんをがっかりさせないためのシステムだそうですが、この日は決勝戦しかありませんし、さすがにリザーブの選手は用意してなかったようで、ロンドンで休養していたマリーが呼び出されて、エキシビジョンマッチが急遽行われましたが、果たしてお客さんは満足したでしょうか?。
こんなポイント的にも、賞金的にも大事な試合で、しかも高い入場料を払った2万の観客がいるのに、自分の体調維持のためにドタチャンをしてしまうヨーロッパのトップ選手たちの行動に一部マスコミなどの批判が有ったようです。“同じ棄権でも、彼をお目当てのファンも沢山いる訳だから、取りあえず試合をしてみて、どうしても駄目だったらそれから棄権しても良いだろう”と。しかし、フェデラーは“一晩治療したがジョコビッチと戦える状態になれなかった。この状態で戦うのは却ってファンの皆さんに申し訳ないので棄権した”と謝罪したそうです。
それに引き替え、“我、羽生結弦君はグランプリシリーズ中国大会の時、直前練習で激突転倒し、頭と顎に大怪我をしましたが、それでも周囲の説得を押し切って頭にテープをグルグル巻きして出場し、5回も転倒しながら見事2位に入った。何とあっぱれなことか”と云うことになりますが、あれは正直云って褒められることでは無い、無謀だったと思います。頭を打って、しばらく動けないほどの衝撃を受けた訳ですから、頭蓋内に何が起こっているか解らない状態で精密検査も無しに、フィギュアスケートのような過激な運動をするのは無謀です。自殺行為です。それに咳をしていましたので胸も打っていたと思いますし、腰の姿勢も変でした。後遺症が出たら、競技生活はもちろん、日常生活でも取り返しがつきません。それ位は医者じゃ無くても解ると思いますので、本人は興奮していて元気なように感じても、コーチを始め関係者が何としてでも止めるべきでした。グランプリ・ファイナルに出るために少しでもポイントを稼ぎたいと云う気が有ったかもしれませんが、それは彼の長い競技生活を考えればほんの些細なことでしかありません。
やっぱりフェデラーの方が冷静で、一流のアスリートらしくファンと自分を大事にする判断だったと思います。
余談ですが、5回も転んでどうしてあんな高得点が出たのでしょうか。同情点ですか?。少なくとも最終滑走6人の内では衝突相手の中国のエン・カン選手よりは良かった程度でしたが・・・? これだけ細かい採点基準が出来ても、判定は審判員の主観ですから、採点競技は難しいですね。その点テニスは白黒がはっきりしていて、しかも疑義が有ればビデオ判定までしますので公明正大です。
話がそれましたが、準決勝戦、第1セットは王者ジョコビッチに対し弱い錦織、第2セット第2ゲーム錦織がブレークバックしてからは強い錦織と浮足立ったジョコビッチとなり、第3セット第1ゲーム15-40まではこのペースが続きましたが、次のポイントで錦織は、まさか慢心が有ったとは思いませんが強引な攻めに出て2ポイント落としてしまい、死にかけていたジョコビッチを助けてしまいました。その後は生き返ったジョコビッチに一方的にやられて惨敗しました。こんな試合展開となるのは、最近のテニスはメンタル的な面が凄く影響するのでしょうか・・・?
でも、錦織は良く頑張りました!!