2025年3月21日
第228回
高身長の人は寿命が短い?
地震や大洪水、大津波に加えて森林火災迄起こるとは、何か神様の怒りをかっているようで心配です。怒りをかいそうなことをしているのは他所の国なのになぁ・・・。
何はともあれ、被災地の皆様には心からお見舞い申し上げます。
M3という医者向けのSNSで‟高身長の人は寿命が短い”という見解に対してどう思うかという論争が、論争というほどでも無いですが、個人的な意見が飛び交っていて、あると思うが27.6%、無いと思うが31.8%、どちらとも言えないと思うが40.6%という割合でした。
昔から高身長と低身長でどちらの寿命が長いかという研究は行われていて、結論的には低身長の方が長生きというデータを出している学者が多いですが、高身長を何cm以上とするのか、平均的な身長の人はどちらに含まれているのか、日本人と欧米人では差をつけるのか、他の要素は加味しないのかなど問題点は残ります。
一方で、高身長の方ががんリスクが高いというのは、ほぼ証明されています。高身長ほどがんによる死亡リスクが高く、身長168cm以上の群では160cm未満の群より全がんリスクが17%高く、5cm高くなるごとに4%リスクが増加するそうです。逆に循環器疾患による死亡リスクは低いことが報告され、脳卒中での死亡リスクは身長が5cm高くなると死亡リスクが5%減るそうです。また、世界がん研究基金(WCRF)では、高身長が大腸がん、乳がん、卵巣がんのリスクであることが確実としています。高身長だと細胞数が多くその分癌のリスクが増えるのが原因ではないかと考えられています。背が高い男性は、細胞分裂を促進する‟インスリン様成長因子”の値が高く、それががん化を促進すると推測されています。
また、哺乳類の場合、同一種の中では、サイズの大きなものほど寿命が短くなる傾向があるとされ、‟身長が1cm高くなると、0.47-0.51年の寿命の短縮がある”あるいは‟男性は女性より平均して約8.0%程度身長が高く、平均寿命は7.9%短い”との説もあるそうです。なるほど、確かに男女の身長差と平均寿命に関してはその通りですが、性差を考慮に入れなくても良いのでしょうか。
ある外科医が消化管穿孔の緊急手術で救命できる患者さんは、高齢者の場合は小さなお婆ちゃんが多いと仲間内では認識していたと述べていましたが、低身長の方が緊急危機の管理能力が強いのでしょうか。
身長が高い理由には、両親の背が高いので子どもも背が高い遺伝性、成長ホルモンが過剰に出ている巨人症、Klinefelter症候群などの染色体異常などがあると思われます。遺伝性の場合は特に寿命とは関係ないと思いますが、染色体異常などの疾患による高身長は身長もさることながら、疾患そのものが寿命に関係すると思います。
この格言はまだ病態が解明されてない時代のマルファン症候群や先端巨大症の人が早く亡くなるのを見てできた風評ではないかと言う意見もありました。
高身長の人は一流スポース選手になって有名な人も多く、死亡記事が出た時に年齢を見て早死にだなと思う時があります。そんな印象が高身長の人は寿命が短いという先入観になっていることがありますが、お相撲さんなどは生活習慣病など別な要素も考慮しなければならないと思います。大谷選手は192cmもあり超高身長ですが、均整の取れた良い体格をしておりあの体調管理を続けていればとても早死にしそうにありません。
今までのデータではどうも‟高身長の人は寿命が短い”が優位だったようですが、これからは予防医学、栄養学、エクササイズなどの体調管理によって改善できるような時代になると思いますので、高身長の人も悲観せずに頑張りましょう!!
