2024年11月20日
第224回
「糖尿病」が「ダイアベティス」に変わる?!
 今週に入って急に寒くなり秋らしくなりましたが、先週はまだ夏日が続いていました。地球温暖化は着実に進んでいるようですので、いずれ日本の美しい四季も無くなり、夏と冬だけの二季になってしまいそうです。
 地球温暖化阻止の世界機関、COP29が最近開催されましたが、アメリカがトランプ次期大統領の決定で消極的になり、フランスもドイツもトップが欠席で、産出国の中国やインドのトップも不参加のようです。総本山まで消極的になっては温暖化の速度は増々加速していくことでしょう。
 我々の世代は先が短いから良いとしても、100年、200年先の子孫のために真剣に考えるべきだと思います。

 さて、日本糖尿病学会とJADEC(日本糖尿病協会)は11月1日、メディアセミナー「糖尿病アドボカシー 呼称を含む2024年現在の課題と展望」を開催し、「糖尿病」の新たな呼称として2023年に提案した「ダイアベティス」という呼び方に変更すると発表して波乱を起こしました。
 『「糖尿病」はそもそも誤訳であり、学術的に正しくなく、国際的にアジア以外では使用されていない。病態の本質をとらえていないし、スティグマにもなっている。糖尿病の病態への理解は進んでおらず、患者の6割が周囲に伝えていないことが明らかになっている。何十年も啓発活動をしてきたが正しく理解されていない。病名を隠したくなるのは偏見・差別が起こるという予期的なスティグマが働いている。言葉に染みついた負のイメージを変えるためにも呼称変更は極めて有効であると考えている』と説明しました。
 学術的に正しくなく、病態の本質をとらえてないなら呼称変更に特に反対はしませんが、スティグマになっていると言う点はどうでしょうか。「糖尿病」と言われるのが恥ずかしいでしょうか。病気はどんな病気でも自慢することではありませんが、「梅毒」や「淋病」なら隠したいと思うでしょうが、「糖尿病」を隠したいとは思わない気がします。
 呼称変更は良いが「ダイアベティス」と言う和製英語病名は分かりにくいので分かりやすい日本語病名を考えてほしいといった意見が多く出ました。一部の高齢の糖尿病専門医は「使い慣れているので変える必要はない」「高齢者の患者さんは覚えにくい」と言った理由で反対もあったと言います。また、クリニックの看板に「ダイアベティス内科」と書いても分かってもらえず患者さんが減りそうと心配する向きもあったと言うことです。
 普通の日本人なら漢字を見るだけで、ある程度疾患のイメージを得ることが出来ますが、和製英語「ダイアベティス」では一般の人から見たら情報ゼロで何を言っているのか分からないので、例えば糖代謝異常症、高血糖病、高血糖症候群、血糖異常症など日本語病名に変更すべきだと言うことです。
 過去にも「高脂血症」が「脂質異常症」に変更された例があり今では普通に浸透しています。「認知症」も20年くらい前までは、「痴呆症」と呼ばれていましたが、「認知症」と病名が新しく変わってもちゃんと定着しましたし、「精神分裂病」も20年以上前に「統合失調症」と変更され、当時はかなり新病名が衝撃的でしたが、世間ではもうすっかり新しい和病名が定着しました。
 「糖尿病」は病態と名称が合わないので変更と言うことですが、「痴呆症」と「精神分裂病」はあまりにも病態と合い過ぎてスティグマになるので逆に少しぼかそうと病名変更をしたようです。
 私としては、変えるなら日本語病名に変更して欲しいと思いますが、「メタボリックシンドローム」が「メタボ」と呼ばれるようになって定着した例もあります。将来的には「ダイアベティス」が「ダイア」という呼称で定着するかもしれません・・・?
 皆さんはどう考えられますか!?