無痛分娩を希望される方へ
当院ではご希望された方に、硬膜外麻酔による無痛分娩を行っています。
分娩時の痛み(産痛)は、陣痛の開始から始まる子宮収縮の痛みと、胎児の先進部が下降してきて子宮口が圧迫・拡張される開口痛から起こります。痛みの感じ方には個人差もありますが、産痛や、分娩に対する不安や恐怖といったストレスが分娩の進行を遅らせる原因になることもあります。そのため、産痛を適切な方法で軽減することは、安全な分娩を行うための一つの方法とも考えられます。
なお当院では、原則として自然陣痛の発来を待ってから無痛分娩を始めるため、夜間・休日入院の場合、すぐにご希望に添えないこともあります。
計画分娩での対応も可能ですので、ご希望の方は診察時医師にご相談ください。
メリット
- 局所麻酔のため、意識ははっきりし、産痛だけを和らげます。
- 胎児への薬物の影響がほとんどありません。
- 筋の緊張がとれ、また、痛みが和らぐことで、過呼吸や子宮胎盤血流悪化が抑制され、胎児への酸素供給も安定し、リラックスしてお産に臨めます。
- 陣痛による血圧上昇や、心血管系への負担のリスクをお持ちの方に対して、そのリスクを軽減させることができます。
デメリット
- いきみが十分に入らないため、出産時、何らかの産科的処置(陣痛促進剤の使用・吸引分娩・鉗子分娩など)が必要になることがあります。
- 血圧低下が起こる場合があります。
(予防のため、出産まで点滴を行います。) - 頭痛(硬膜穿刺後頭痛)が起こる場合があります。(1%以下)
- ごく稀に血腫や神経障害などが起こる場合があります。(1/150000)
当院における診療体制と安全管理対策
無痛分娩には上記のような危険を伴うため、当院では厚生労働省の通達「無痛分娩の安全な提供体制の構築について」(平成30年4月20日)に基づいた診療体制を整えています。
(1) 当院の診療体制
当院では、産婦人科医・助産師・小児科医のチーム医療による硬膜外麻酔を行っています。
- 無痛分娩麻酔管理者:近藤 裕子
- 無痛分娩麻酔担当医:6名
無痛分娩麻酔担当医は、必要な講習会および救急蘇生コースを受講しています。 - 無痛分娩担当助産師:14名
無痛分娩担当助産師は、月1回院内カンファレンスで症例検討や産科についての学習を行い、半年に1回緊急時の対応についてシミュレーションを実践し、緊急時に備えています。
(2) 無痛分娩に関する安全管理対策
- 当院は、無痛分娩に関する以下の安全管理対策を行っています。
- ① 無痛分娩マニュアルを作成し、担当職員への周知徹底を図っています。
- ② 無痛分娩看護マニュアルを作成し、担当職員への周知徹底を図っています。
- ③ 当院に勤務者が参加する危機対応シミュレーションを少なくとも半年1回程度実施しています。
(3) 無痛分娩に関する設備及び医療機器の配置
- 蘇生設備及び医療機器を配備し、すぐに使用できる状態で管理しています。
- 救急用の医薬品を配備し、すぐに使用できる状態で管理しています。
- 母体用の生体モニターを配備し、すぐに使用できる状態で管理しています。
(4) インシデント・アクシデント発生時の具体的な対応
- 当院では硬膜外分娩を行う際、安全には十分気を付けていますが、万が一緊急事態が発生した場合に備えて必要な器材や薬剤を準備しています。
- 緊急事態の対応について
当院は複数の常勤医が勤務しており、急変時には、早急に医師、スタッフを集め対応しています。近隣の高次医療機関(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院・名古屋大学医学部附属病院・名古屋市立大学病院・愛知医科大学病院など)との連携も取っており、必要に応じて、速やかに母体搬送を行うことも可能です。 - 赤ちゃんの治療は小児科医が担当します。
- このような事例は、院内の検討会により原因の究明に努め、無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)が実施する偶発事例報告事業および日本産婦人科医会が実施する妊産婦死亡報告事業に報告することになっています。
また普段から危機対応シミュレーショントレーニングを適宜行い、ALSOやJ-CIMELSといった院外のシミュレーションコースも積極的に主催・参加しています。
分娩数・無痛分娩数・帝王切開数
- <2022.1.1~2022.12.31>
- 分娩数:593
無痛分娩数:129
帝王切開:137
申し込み方法
無痛分娩を受けるには、同意書が必要になります。
ご希望される方は『バースプラン』を立てられる際に選択してください。
『バースプラン』を提出していただいた時に、医師から説明をし、同意書をお渡しします。
ご本人とパートナー(お母様でも可)の署名をして、入院時にご提出ください。
費用
麻酔処置料 100,000円
※薬剤の追加投与が必要な場合、1投与ごとに別途10,000円の費用がかかります。
2024年9月1日施行分から対象となります。