第188回   この冬はワクチンラッシュになりそうだ!?
2021年11月19日  
 
 
 新型コロナワクチンについては、前回も書きましたように妊婦さんへの推奨も加わり、現在約75%の人が2回接種を終え、1回接種の人も加えれば80%弱の国民が打ったことになります。今12歳以下の子どもは接種対象外ですので、対象者の約9割が接種したと云う訳で、これは凄いことだと思います。それに日本人の律義さを加えれば新型コロナが急減したのも納得がいく気がします。
 更に今3回目の接種が計画されています。対象は2回目接種後8カ月を目途に、医療者、高齢者、基礎疾患のある人などが挙げられていますが、拡大されるかも知れません。その上、12歳以下の子どもへの接種も検討されています。ワクチン接種の実施が12月頃からになりそうですので、そうなれば新型コロナの終息も意外に早いかも知れません。

 一方でインフルエンザの季節がやって来ました。去年は新型コロナの影響でマスク、手洗い、うがい、3密の回避などが徹底されたためか、インフルエンザがほとんど流行りませんでした。そのせいかインフルエンザワクチンを打たずに済んでしまった人もいたようです。
 その反動で、今年は免疫が無い人が多いので流行るだろうと予想されています。ところが、去年売れなかったので作り控えをしたのか今年はワクチンの供給が悪くて、掛りつけ医では打って貰えないような事態が起こっているそうです。そのためか当院にもインフルエンザワクチンの予約が殺到しています。
 一般的には、今年は流行るとされていますが、新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスもウイルスは単独では生存出来ません。ヒトの細胞に寄生して初めて増殖出来る訳ですが、1個の細胞に複数のウイルスが寄生しようとすると、片方のウイルスが、細胞に吸着するのに必要なレセプターを独占し、他方のウイルスは、吸着場所を失って生存出来なくなってしまいます。所謂ウイルスの干渉作用が起こってウイルスは同時には1種類しか増殖出来ない仕組みです。
 仮に、新型コロナの第6波が大波となればインフルは流行らないかもしれないし、逆にインフルが大流行すれば新型コロナは終息するかもしれないと期待されます。

 最近急に注目を浴びてきたのがHPVワクチンです。これについては以前にも何度か書きましたので詳細は省きますが、子宮頸がんの予防ワクチンです。
 実は2013年4月に定期接種と定められ小学6年生から高校1年生の女子に積極的勧奨が出されました。しかし、重篤な副反応が出たと報じられ社会問題化して2カ月で勧奨が止められてしまい、その後接種率は1%前後に落ち込んで現在に至っています。そのため、日本では、未だに毎年1万人弱が発病し3千人弱が死亡する現状です。一方欧米では12∼13才に接種した群は未接種群に比して頸がん発生率が87%も低くなったなど予防効果が充分あったとされる報告が多数なされています。
 このような事態を踏まえて厚労省はHPVワクチンの勧奨を再開すると決定し、一部の地域では既に該当者に接種券を送付し始めました。ところがHPVワクチンは6ヶ月かけて3回打つことになっていますので、高校1年生にとっては11月から始めても3月までに5ヶ月しかありません。経緯が判らない親御さんから、なぜ今頃来たのかと不満の声がありましたがごもっともなことだと思います。しかし、短縮法も考慮されていますので今からでも早めに接種してください。
 又、来年4月からは、機会を逃した8年間の人にも無料で接種すると追加発表されました。是非有効に使ってください。

 新型コロナは罹ればすぐ発病し、重症者や死者も出ますので、メディアもワクチンの副反応より接種のメリットを優先させるような報道姿勢を取り、ワクチンの反対論者は異端者のような扱いにされています。
 一方、子宮頸がんは10年から20年先の発病なので、切迫した危機感が無かったのか、ワクチンの副反応の方が重要視されました。
 副反応の程度も頻度も両者であまり変わり無いのに報道の仕方次第ですっかり世論が変わり、子宮頸がんに関しては後進国になってしまいました。
 メディアも公正な判断のもとに責任ある報道をして欲しいと思います。

 と云うような訳でこの冬は3種のワクチンの接種ラッシュになりそうな気配です。唯、何れのワクチンも投与の間隔などに決まりがありますので医療機関にご相談ください。
 
 
星ヶ丘マタニティ病院 理事長 近藤 東臣  
 
 
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