2021年8月20日
第185回
オリンピック・Tokyo 2020!
 賛否両論を抱えながら東京オリンピックが開催されました。私も医者の立場から最初はこのコロナ過で強行するのと、どちらかと云えば懐疑的でした。これに加えて、直前に無観客開催が決まったので個人的な理由も絡んで増々批判的になりました。
 と云うのは、実は東京オリンピック誘致が決まった8年位前のことですが、当時72才だった私は、二つの目標を掲げました。一つは2020年、私は80才になりますが、杖無しでオリンピックを観に行くこと。もう一つは当時2027年に開通すると云われていたリニア新幹線に乗って東京の学会に行くこと。の二つです。
入場券の発売が始まった時、色々な種目を申し込みました。そうしたらハンドボール男子の予選が当たりました。これで目標の一つが実現できると喜びましたが、半年ほど前になって入場制限をすることが決まりました。それに引っかかったらどうしようと又心配になりましたが、ハンドボールは人気種目では無かったようで対象から外れ、オリンピック事務局からも6月末にチケットを送ると連絡がありました。良し、1年遅れになったが杖をつかずにオリンピックに行けるぞと張り切っていたのですが、直前に無観客と決まり行けなくなってしまいました。
 目標が達成出来なくなったショックから無観客のオリンピックなど無意味だろうとイジケて仕舞ったのです。
 しかし、競技が始まったら、連日の日本選手の活躍にすっかり興奮してテレビにかぶり付きになってしまいました。私も結構見識が無いと云うかミーハーですね。

 さて、競技に関しては日本選手の金メダルが多すぎてそれを書き出したら紙面がとても足りません。そこで視点を変えて私の勝手な見解を少し述べてみます。
 水泳400m個人メドレーの瀬戸選手。絶対的金メダル候補と云われながら、惜しくも予選落ちをしてしまいました。あのレース。平泳ぎを終わった300m過ぎの時点では2位に5m以上の差をつけて圧倒的トップでした。準決勝に備えて最後のクロールを流しにかかったのは解りますが、ラスト25m位になった時に2位以下の選手が急追してきたことに気付いたと思いますので、そこでギアチェンジすることは無理だったのでしょうか。一旦流したら急にスピードアップは出来ないものなのですかね。本人も皆が迫ってきてこりゃ拙いスピード上げようと思ったでしょうに・・・。
 テニスの大坂なおみ選手。聖火の最終ランナーにも選ばれてTokyo2020の看板選手でしたがベスト8にも入れず3回戦で敗れてしまいました。やはりこの選手には精神的なムラがあるのでしょうか、ミスショットが出だすと辛抱しきれないようです。でも強い時の彼女は圧倒的な攻撃力が魅力的で大好きです。
 テニスでは男子の絶対的エース。ジョコビッチ選手も3回戦で負けてしまいました。この暑さはテニスが出来る状況では無いと不満を漏らしていましたが、条件は皆同じなので弁解がましいですね。
 男子バスケット。八村選手と渡辺選手の二人のNBA選手が入ってかなり期待していましたが、二人の活躍にも関わらず1勝も出来ませんでした。やっぱり団体競技は全体のレベルが上がらないと無理なようですね。
 それに比べて女子は凄かったですね。エース渡嘉敷選手を欠く中で、身長差を克服するため3点シュートに徹底的に拘った作戦が功を奏したみたいです。決勝戦ではアメリカに敗れて結果は銀メダルでしたが、高身長が圧倒的に有利なバスケットで決勝まで行くなんて信じられません。私が一番興奮した種目です。トムホーバスHCの日本語の叱咤激励も良かったですね。
 金メダルで感動したのが、伊藤・水谷ペアの卓球混合ダブルスでした。世界ランキング1位の中国ペアに対して2ゲームを大差で先取された時には、やっぱり中国とは実力差があるなと勝手にあきらめムードになりましたがそれは私の浅はかさで、続きの3ゲームを連取。6ゲーム目は取られましたが最終セットは奇跡の8連続得点で取り返して逆転優勝です。特に伊藤選手が相手の男子選手と互角に打ち合っていたのを見てあの小柄のどこにそんな馬力があるのか本当に感動しました。

 最後に開会式と閉会式についても触れておきたいと思います。一口で言ってあの開会式はなんだったのでしょう。選手入場がソーシャルディスタンスとかで長引いたのはある程度仕方ないとしても、その間のアトラクションが一貫性も豪華さも派手さも無く、それぞれの意味が良く解らないばかりか、全く盛り上がりもありませんでした。
天皇陛下の開会宣言の時に菅首相が慌てて立ち上がったと批判を浴びていましたが、それ以前に天皇陛下と菅首相やバッハ会長が同列の席であること自体がおかしい気がします。
 天皇陛下には彼らの1段上に特別のロイヤルボックスがあるべきだと思います。あんな設定を良く宮内庁が許したものです。
 聖火リレーにしても長嶋さんをあんな姿で出すのは可哀そうです。本人は歩きたかったかもしれませんが見る方は辛いです。車イスに乗っていても颯爽と進んだ方がよっぽど格好良かったと思いますが・・・。
 海老蔵さんも、日本一の歌舞伎役者が出てきたのだからもう少しましな演出が出来たでしょうに。あれでは海老蔵さんが可哀そうです。
 史上最低の開会式と云われても仕方ないだろうと思います。
 そんな中でMISIAの国歌斉唱は素晴らしかったです。君が代をアカペラであんなに上手に独唱した歌手は初めてのような気がします。
 こんな情けない総合演出を企画したのは誰ですか。無駄に夜更かしをしてしまいました。
 開会式が不評だったので閉会式は名誉挽回で素晴らしい演出があるかと期待していましたが、やっぱり盛り上がりに欠けたショボい閉会式でした。一つ一つのイベントに統一性が無く、しかもそれぞれが盛り上がらない。特に最後に大竹しのぶさんが子供数人と出て来て、それも普段着のような格好で何かぼそぼそ歌いながらウロウロしている内に聖火が消えてしまいましたが、聖火が消えるシーンはあれで良かったのでしょうか。もっと選手や観衆が惜別の念でジーンとくるような演出にすべきだったと思います。カオスに拘ったとか書いてありましたが、混沌としていただけです。
 それに比べて次回開会国フランスの映像はコンパクトでパンチが効いていてテンポが良かったと思います。
 日本が駄目だったので余計際立って観えました。