2022年10月20日
第199回
出産準備金。コロナ少子化対策で10万円。ミミッチイ!!
 10月に入って新型コロナの規制緩和が、政府の明快な見解が無いまま、なし崩しに解けて街の人出が一気に増えました。週末は3年ぶりに名古屋祭りも開催され英傑行列も繰り出して盛り上がったようですし、全国旅行支援も始まり観光地も賑わったとのことです。
 だが感染者は減るどころか、この所増加傾向にあります。8月、9月と状況は何も変わらないのに、政府としては完全にウイズコロナで経済優先と言うことにしたいようです。
 しかし、医療施設はウイズコロナと云う訳にはいきませんので、厳密な隔離診療を強いられています。いっそのこと新型コロナも2類感染症から5類感染症に変更して病院もウイズコロナにして欲しいものだと思います。

 さて、政府が出産準備金クーポンを来春配布すると発表しました。内容は妊娠した女性への出産準備金としてベビー用品や育児サービスに使えるクーポンを子供一人当たり10万円出すと言うものです。
 新型コロナ過で出生数が減少する中、妊娠期からゼロ歳~2歳の子育て期間の支援を強化する狙いだそうです。使途として妊娠中はベビー服やベビーカーなどに、出産後はおむつ代、ミルク代、それに加えて産前産後ケアや子供の一時預かりといったサービスにも使えるとのことです。無いよりはましだと思いますが、たった10万円でそれだけの多様な費用代として足りるのでしょうか。
 政府は少子化対策が最重要課題だと何時も言っていながら、やることが如何にもミミッチイと思いませんか?。コロナ過で出生数が以前の想定数よりかなり減少し、来年は80万人を切るのではないかと言われています。数も減った訳ですから、もっと思い切った手が打てると思いますし、そうしないと妊娠適齢期の女性たちがその気になってくれないでしょう。
 私は何十年も前からこのコラムで少子化対策を真剣に考えるのなら、育児手当金を成人するまで出すべきだ。それも1人目より2人目、2人目より3人目を手厚くすべきだと、同じようなことを書き続けてきましたが報いられません。フランスやイギリスで出来ていることが何故日本では出来ないのでしょう。

 一方で政府は国民年金の納付期間を現行の20歳から60歳までの40年間から65歳までの45年間に延長する案を検討していると言うことです。一見少子化とは無関係に見えますが、少子化の裏返しで、これこそ少子高齢化の象徴的な出来事だと思います。
 2025年には団塊の世代が75歳以上となり、2040年には団塊ジュニアの世代が65歳を超え、高齢者人口がほぼ4千万人に近づくそうです。その世代を支えるはずの生産者人口が少子化の影響で減っているため現行制度のままでは支えきれないと判断した処置だと思います。
 以前、少子化の影響は国家に取っては5年、10年先の話ですが、我々産科医にとっては喫緊の死活問題です。と書いた覚えがありますが、正にその5年、10年が来たようでやっと政府も重い腰を上げなければならなくなりました。
 政府の皆さん、出産準備金も国民年金もしっかり頼みますよ!