2008年3月19日
第24回
「マンマ・ミーア!」観劇 こぼれ話

 先日、私が所属するロータリークラブの家族会で、劇団四季のミュージカル「マンマ・ミーア!」を観る企画がありましたので、家内と参加しました。こんな機会でもなければ、若い人向きのミュージカルなど、おそらく観に行く事はなかっただろうと思われますので、大変貴重な経験をさせて貰いました。新名古屋ミュージカル劇場はそんなに大きくなく、舞台も想像していたより小ぶりでしたが、観客席は一杯の盛況でした。大体は中年までの年代の人たちでしたが、中に中学生か高校生の団体が2組いました。そんな中で、我々熟年夫婦の団体は特異な感もありましたが、他にもチラホラ老年層も見かけましたので、同好の士も居ると少し安心しました。「ロータリーでミュージカルは無理がある。御園座の方が我々には合っているのではないか」「イヤイヤ、自分からは来ないから、たまには若い人向きの企画も面白い」「年齢は関係ない、要はミュージカルを楽しめる素質があるかどうかだ」等々、照れ隠しの他愛も無い議論を交わしながら開演を待ちました。しかし劇が始まって、いきなりの大音響にまず圧倒されました。この大音響は年寄りには堪えます。実は、この所、睡眠不足が続いていましたので、上演中に眠ってしまう可能性があり、それでは最もこのミュージカルに合わない観客だと云われそうで心配していましたが、さすがにこの音響では最後まで眠気は来ませんでした。ところが、豪傑も居たもので、私の周りには、この大音響を子守唄に安らかな夢の世界に入った人が2~3名いました。俳優は皆、私の知らない人ばかりでしたが、主演の鈴木ほのかは声量もあり、歌も旨くて、スタイルも良いすばらしい女優さんでした。後から聞いたのですが、彼女は地元一宮市出身の人だそうです。昔は劇団四季にも有名な俳優さんが居て、2~3人は知っていたような気がしますが、最近はどうなのでしょう。たまたま私が知らないだけでしょうか。しかし、広告のパンフレットにも俳優の名前は1人も出ていません。スターよりも浅利慶太の演出が売り物の劇団なのでしょうか。でも、他にも素敵な俳優が居ました。男優の荒川務、明戸信吾、女優の八重沢真美なども迫力があって、なかなかの役者でした。しかし残念な事に、中央の一番良い席に座っているにもかかわらず、彼女達の顔が美人かどうかはっきり見えません。オペラグラスも忘れていったので確かめようがなく、周りのロータリアン連中に聞いてみたのですが、皆さん曖昧でどうもはっきりしません。やはりしっかり見えてないようです。昔はこのくらいの距離ならしっかり見えたのに今はボケて霞んでしまいます。お互い年は取りたくないですね。それで思い出したのが、随分前に病院旅行で宝塚へ行った時の事です。丁度その時は大地真央のさよなら公演の時で、職員は皆大喜びでしたが、逆にチケットが取り難くて苦労した覚えが有ります。その為、良い席、悪い席バラバラでした。私は宝塚にそれほど趣味は無かったので、良い席は宝塚大好きな看護師さんに譲り、遠くの席で見ていたのですが、大地真央の相手役の女優が凄く綺麗だったので、すっかり気に入って彼女ばかり集中して観ていました。それが当時娘役トップスターの黒木瞳だったのです。それ以来スッカリ黒木瞳のフアンになってしまいましたが、それは兎も角、あの頃は未だ若かったので宝塚大劇場の遠い席でもしっかり顔が見えるほど目が良かったと言うことです。話をもどしますと、彼らの歌唱力も良かったけれど、楽曲が懐かしいABBAのヒット曲で構成されていましたので、「ダンシング・クィーン」など私も知っている曲が沢山出てきて、余計入り易かったと思います。しかし、踊りは期待したほどの凄い見せ場は無く、私のミュージカルのイメージと違っていました。舞台装置も簡素と云うか、工夫はされていましたが、豪華さは無く、チョット寂しい気がしました。昔ブロードウエィで観たミュージカルは舞台も豪華だったし、歌や踊りが凄かったので、言葉ははっきり解らなくても、充分楽しめた記憶があります。そう言えば、数年前に観た同じ劇団四季の「ライオン・キング」はもっと舞台も華やかで、歌も踊りも迫力があり、何よりもストーリーが感動的で楽しめました。今回も、「今や全世界に愛されているミュージカル」と宣伝しているからには、きっと笑いあり、涙あり、そして最後は感動的だろうと期待していましたが、残念な事に感動的なフィナーレとはいきませんでした。ところが観劇後の夕食会の時、意外なところで、特に奥様方の間で盛り上がりました。それはソフィ(主役の娘の名前)の本当の父親は果たして誰だろうと云う事で話題が沸騰したのです。このコラムの読者の皆さんのために、少し物語の筋書きを説明しますと、女手一つで育てられたソフィが結婚式を控えて、昔の母の日記を盗み見てしまいました。そうしたら、3人のパパ候補がいる事が判ってしまったのです。とんでもない秘密を知ったソフィは真相解明のため、母親に内緒で3人を結婚式に招待することにしました。そしてドラマは意外な方向へ・・・。となるのですが、結局父親は解らず仕舞いで終わりとなりました。奥様方は、そこを解決しないと喉に何か詰まったようですっきりしなかったのでしょう。アーダ、コウダと議論の末、産婦人科の医者である私に「産科学的に見て如何でしょう」と振ってこられました。所詮、お芝居ですし、しかも日記の内容だけで推定するのはかなり無理がありますが、折角盛り上がったその場の雰囲気を壊してもいけませんので、女性の妊容力は排卵の前3日、後2日の精々5日間位ですからその辺を根拠に、セリフの二つ、三つを取り上げて、かなりこじつけの屁理屈を並べて無理やり父親を特定しました。しかし意外と皆さん納得してしまわれたので、私としては「実はいい加減な話です」とも言えなくなって、返って戸惑ってしまいましたが、それでも夕食会は大いに盛り上がりました。皆さん次の日までは覚えていないでしょうから、嘘も方便、楽しかったので今日は大目に見てもらいましょう。