2015年10月20日
第115回
ラグビー日本代表は凄い!!!
自称、辛口総合スポーツ評論家の私としても、賞賛を込めて多いに論評したいと思います。
因みに私は夜中の試合も早朝の試合も全てLIVEで観戦しました。スポーツは結果を知ってから観たのでは今一素直に興奮出来ません。次の場面を想定して、“ああなって欲しい”とか、“こうなるなよ”とか勝手な思いを馳せながら応援する所に醍醐味があります。そんな訳で私はラグビーに限らず、重要な国際試合は睡眠不足も顧みず、都合がつく限り実況で見ています。
さて、初戦は優勝候補の一角、南アフリカ戦でした。大方の予想は、予想と云うより願望は善戦をして欲しい、出来れば惜敗と云う形でボーナス点の1点をもぎ取って終わって欲しいと云うものだったと思います。実は私もそんな風に考えていました。ところが実際には大接戦となって、試合終了間際まで、3点差で追いすがっていました。土壇場で相手の反則があり、ペナルティを得た時に、リードキャプテンはショットを狙わずに、トライ狙いのスクラムを選択しました。これは凄い賭けでした。比較的楽な位置でしたので五郎丸選手ならショットは決まったと思いますが、得点は3点しか入らないので引き分けで終わります。トライは5点ですから成功すれば逆転勝ちにはなりますが、相手は強豪南アフリカです。引き分けで充分だと多くの人が考えたと思います。しかもインジュリータイムに入っていましたから一度ミスが出ればホイッスルが鳴ってそれで試合終了、即ち負けです。結果的にフォワード、バックスが一体となった素晴らしい攻撃でトライが成功して逆転勝ちし、上記の“史上最高の番狂わせ”となった訳ですが、このチャレンジ精神に世界中が称賛を送ってくれました。
新聞報道によれば、ジョーンズヘッドコーチはショットを指示して引き分けを狙ったようですが、グランドの選手たちはあの時点での南アフリカの選手がかなり消耗していたので押し切れると考えてスクラムを選んだようです。
この世紀の大逆転劇は日本中ににわかラグビーフアンを作り、世界中のメディアに取り上げられ脚光を浴びました。もちろん歴史に残る素晴らしい1勝だったことに異存はありませんが、私はこの1勝が次のスコットランド戦に微妙に影響したと考えています。
もともと日本は予選リーグ突破、ベスト8を目標にしていました。具体的には南アフリカには惜敗、スコットランドには勝つか引き分け、サモア、アメリカには勝って、スコットランドより上に行きたいと考えていたと思います。ところが南アフリカに勝ってしまったことによって、それより格下のスコットランドにも勝たなければならないような気分にさせられてしまったような気がします。驕りが出たとは思いませんが、なりふり構わずの挑戦者の戦いをする筈が、横綱相撲のような試合ぶりになってしまいました。前半、まだ互角に戦っている時間帯で、ペナルティを得た時にショットではなくトライを選択して3度失敗していました(1度は見事に成功しましたが・・・)。挑戦者の積りなら格好つけずに3点ずつ加点して前半に1点でも多くリードしておくべきでした。そうすれば後半あんなに一方的にやられてしまうことはなかったと思います。3日後の試合と云うのはラグビーでは大変なハンディになります。先ず同じ選手が同じ状態では戦えないでしょう。作戦上から云えば、スコットランド戦に主力を温存する手もあったと思いますが、新手のリザーブの選手も沢山いた訳ですから、それよりも、気持ちの整理がうまく出来ていないままの戦い方の方が問題だったと思います。いずれにしてもこの大敗が予選リーグ敗退の大きな原因となりました。
しかし、その後の2試合は立派でした。サモア戦は日本が4年間に渡って鍛えた成果が最もよく出た試合だったと思います。又、最終アメリカ戦は予選敗退が決まった後なのにモチベーションを下げずに頑張って正にスポーツマンシップを発揮した試合でした。
3勝1敗で予選敗退したのは史上初めてだそうで、“最強の敗者”と称えられていますが、選手たちにとっては何の慰めにもならないでしょう。
弱小日本ラグビーがここまで強くなったのはジョーンズヘッドコーチによる猛訓練の賜物だと称賛されていますが、あまりの過酷な訓練と規律の厳しさのためにチームは崩壊寸前だったと云われています。W杯直前の彼の辞任発表はなぜこの時期に?と奇異に感じましたが、選手たちにとっては終わりが見えて、却ってホットした気分になり逆に結束が固まったようです。これもジョーンズヘッドコーチの戦略の内だったかもしれません。
考えてみれば予選落ちしたチームが、これだけメディアに大々的に好意的に取り上げられ称賛されるのも不思議な気がしますが、それだけ我らの日本代表は世界中に衝撃と感動を与えたのでしょう。君たちはよく耐え頑張った!素晴らしい!有難う!!
それに引き替え、中日ドラゴンスや名古屋グランパスの情けなさ・・・。来年こそは捲土重来、我々を楽しませてくださいよ!