2021年6月19日
第183回
やっと新型コロナワクチン接種が始まった!
 日本でもやっと新型コロナのワクチン接種が始まり、5月末から当院でも高齢者接種を始めました。予約を開始した日は、Web予約、電話、来院の3方法で予約が取れるようにしましたが、やはりお年寄りは電話が多くてパンクしそうでした。その日の内に当院で割り当てられた最初の1か月分の予約がほぼ埋まってしまい、メディア報道の通りだなと実感しました。
 ところが、6月初めに7月分の予約を開きましたが、今度は予約が疎らにしかありません。一日でも早く打ちたいと、この1か月の間にほとんどの高齢者がどこかで予約してしまったのかなと思っていましたが、最近名古屋市から高齢者の47%がまだ打っていないので予約状況を教えて欲しいと云う連絡がありました。大型集団接種会場も予約が埋まっていないと云うことです。迷っている人が多いのでしょうか。

 いずれにしても、まだ予約をされてない方は是非当院でご予約下さい。因みに7月12日からは60才~64才の方の接種も始まりますのでその予約も致します。と宣伝もして・・・。

 実は我々医療者は第1優先で接種をさせてもらいました。私も既に2回目も終わって中和抗体検査をしてみましたが、十分な抗体が付いていました。変異株感染も増えてきましたので絶対とは云えませんが基本的にはうつることもうつすことも無くなったので、これからは一層積極的に患者さんに対応出来るようになったと思っていました。
 処が友人の診療所でこんな例がありました。当人は医療者ですのでワクチンを打っていますが、家族は医療者では無いので未だ打っていません。その家族の一人が運悪く新型コロナに感染しました。保健センターに届けたところ、濃厚接触者だから2週間の自宅待機をするようにとのことでした。「えっ!彼女はPCR陰性で、既に2回ワクチンを打ってしかも抗体も付いていますよ。それでも自宅待機ですか」と聞いたそうですが、まだそのようなケースに対する国の指標が出ていないので濃厚接触者に対しては今まで通りの処置をお願いしますとのことだったそうです。下部組織の保健センターとしては厚労省の指示が無ければ仕方のないことかもしれませんが、「それでは我々医療者が先にワクチンを打った意味が無いでしょう。医者や看護師が新型コロナに罹って休んでしまわないように優先的に摂取させてもらった必然性がない」と抗議したが受けて貰えず、結局彼女は2週間休ませたそうです。
 医療者は優先接種しても医療者の家族は打って無いのでこんなケースはこれからも出てくるでしょう。もっと矛盾しているのは感染した人は軽症で自宅待機となって10日間症状がなければ感染性は無いので仕事復帰しても良いと云われたそうです。要するに感染した人は10日で仕事復帰でき、濃厚接触者は14日間待機しなければならないと云う、これもまた非常に矛盾した指標のままになっていると云うことです。
厚労省には早い対応をお願いしたいと思います。

 副反応について友人たちからよく尋ねられますが、私の場合、1回目は当日から翌日にかけて多少熱っぽく、注射部位も痛かったですが、仕事に支障はなく3日目からは普通でした。テレビなどでは2回目の方が強いと云っていますが、2回目はもっと楽で、当日夜多少怠いかなと思った程度でした。多分私が高齢者だからだろうと思います・・・。
 当院では100名程接種しましたが、どちらかと云えば若い人の方が副反応が強かったような印象です。しかし、寝込んだ人は2名だけでした(それも想定して、土曜日に打ったので実質の欠勤者は0でした)。メディアで云う程、重症は出ませんでした。

 ファイザーのワクチンは1バイエル6名分です。保存が効かないので、6の倍数で予約しなければなりません。キャンセルが出た場合の対応が名古屋市の場合。①に60才から64才の人。②に基礎疾患のある人。③にそれ以外の人となっていて、破棄するよりは誰でも良いから打てる人に打ってくれと云うことです。それはもっともなことで年齢に関係なく少しでも早く多くの人が打つことが感染抑制に繋がると思いますが、現場としては実際に急なキャンセルが出た場合、穴埋めの人選作業が大変です。

 先日の同級生ゴルフの会で、我々高齢者が優先的に接種出来るのは有難いが、すでに引退して外出自粛しても余り支障が無い我々世代より、現役世代を優先した方が、経済活動の面でも、感染拡大防止の面でも有意義では無いかという意見が出ていました。それも一理ありますが、一方で高齢者が罹った場合は重症化し易く、医療ひっ迫を起こし易い一面もあるので難しい所です。

 最後に一言。ワクチン接種会場で、接種を受けた人が「これで安心」とコメントするテレビの映像がよく出てきますが、元々100%抗体が付く訳ではありませんし、変異株も増えてきましたので、ワクチンを打ったからと云って絶対安心とは云えません。油断は禁物です。