2024年2月20日
第215回
冬に起こる体調不良「冬バテ」!
 2月は1年で一番寒いはずなのに、今年の名古屋は暖冬気味で私のような寒がりは助かっています。全国的にも雪不足で雪のイベントを中止したと言うニュースも聞きますが、一方で能登半島地震の被災地は豪雪で復興に支障をきたしていると言うことです。何とも皮肉な気象現象ですが、いずれにしても被災地の一日も早い復興を願っています。

 さて皆さま。「冬バテ」と言う言葉をご存じですか。風邪とかインフルエンザに罹った訳でもないのに、冬に起こる体調不良のことを言うそうです。
 「夏バテ」は昔からよく使われていますのでご存じだと思いますが、「秋バテ」と言う言葉もあって以前にこのコラムで紹介した覚えがあります。その内「春バテ」も言われるようになるかもしれません。
 それはとも角、今回は「冬バテ」について紹介します。
 症状としては、何となく体が怠い、意欲低下(集中力が続かず、やる気が出ない)寝つきが悪く、寝起きも悪い、適度な睡眠を取っても疲労感が取れない、頭痛、肩こり、筋肉のこわばり、末端の冷感、食欲不振、便秘、下痢など多様です。
 原因は寒暖差やストレスによる自律神経の乱れと考えられています。冬は朝晩の気温差が大きいですが、暖房機器で室内外の温度差が更に大きくなり、室内は乾燥して湿度も下るのでより疲労が蓄積します。その他、寒さのための運動不足、冷えによる血管の収縮で血行不良になるのも原因の一つです。
 それではどうすれば予防できるのか。自律神経の機能を乱さないことが重要です。先ず規則正しい生活習慣を保って、ストレス過多にならないこと。毎日適度なストレッチ、筋肉トレーニングをおこなうこと。保温に気を配って体温調節を行うこと。
 参考までに昔から3首と言って首筋、手首、足首の三ヶ所を温めると良いとされています。この部分に大きな動脈が通っているからです。逆に夏はこの部分を冷やすと、熱中症や「夏バテ」を防げます。
 もう一つ「冬バテ」予防で大事なのが食事のようです。簡単に言えばバランスの良い食事と言うことになりますが、自律神経の働きを助けるにはビタミン、ミネラルです。特にビタミンB群やビタミンCが重要で、他にも神経伝達物質を作るたんぱく質や自律神経を整えるトリプトファンやGABA、食物繊維などが必要だそうです。
 概して冬の旬な食物は体を温めるのに適していると言うことで、牡蠣、寒ブリ、白菜、リンゴ、大根、ネギ、ミカンなどが上がっていました。料理法としては鍋料理が推奨されていました。
 最後に「冬バテ」になってしまったらどうするか。春になれば自然に治ると言うような簡単な症状では無いので、個々の症状に合わせた治療が必要です。器質的疾患との鑑別もしなければなりませんし、内科系、特に心療内科に罹って適切な治療を受けられることをお勧めします。
 書いていて私も「冬バテ」かもしれないと思ってしまいました。合致する症状が幾つかあります。何となく体が怠い。意欲低下と言うほどではないが、適度な睡眠を取っても疲労感が残る。肩こりや筋肉のこわばり感はあり、末端の冷感はかなり酷い。しかし、食欲は普通で、うつ症状は無いので、単に歳のせいかもしれません。年寄りは「冬バテ」でなくても何時もこんなものでしょう。
 愛読者の皆さまは如何でしょうか。「冬バテ」で無いことを祈ります。