2022年5月20日
第194回
梅雨時の天気病
 “風薫るさわやかな5月”と云っても今年は暑かったり寒かったりで、格別さわやかでもありませんでしたが、そんな5月が過ぎて間もなく梅雨の季節がやってきます。
 この時期は天気が崩れ易く、低気圧と高気圧が煩雑に入れ替わり、湿気が多く、晴雨で温度差も激しい季節です。
 こうした気圧の変化や寒暖差がストレスとなって、頭痛やだるさなど、気分がすぐれず、体も疲れ易く、体調を崩しやすい時期でもあります。
 今回はそんな天気病についてお話します。

 天気や気圧の変化によって私たちはストレスを感じます。その原因はストレスに抵抗しようと自律神経が活動するからです。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経が優位に働くと心身が緊張状態になり代謝が滞り 様々な不調が起こり易くなります。これは気圧が低下する時に起こり易く、気圧の変化が大きいほど自律神経への影響も大きく、症状も重くなりやすいと云われています。気圧の変化は時間帯や天気の変化とも大きく関係しています。因みに1日の内、気圧は朝9時頃に高くなり、午後3時ごろに最も低くなる傾向があるようです。又、天気が悪くなると前線が近づき気圧は下がります。一方。日照時間が長くなり活動時間が長くなっているのも自律神経の活動に影響しているようです。

 症状は代表的なものが頭痛です。脈を打つようなズキン、ズキンとした痛みで、これは交換神経が優位になって脳の血管が拡張したことで起こります。
 首の痛み。首には重要な交感神経が走っている上、気圧の変化を感知する内耳とも繋がっています。そのため気圧の変化によって交感神経や内耳に刺激を受けると首に痛みを感ずるのです。めまいや耳鳴りも、気圧が内耳を刺激することで起こります。
 関節リウマチや古傷の痛みも天気が悪いと症状が出やすいようです。又女性では更年期症状として代表的なホットフラッシュの症状が引き起こされることもあります。
 一方で気圧や寒暖差の変化によって自律神経のバランスが崩れると、うつ症状が出る人がいます。気分が落ち込み、不安感がつのり、不眠や食欲不振と云った身体的症状につながる場合もあります。

 このような様々な体調不良の症状を防ぐには、薬物療法も有りますが、先ずは自律神経のバランスを整え心身を休めることが最も重要です。具体的には10分の早起き。自律神経のバランスを乱さないために梅雨時は時間のリズムを切り替えて、春より10分早起きし余裕をもって朝の支度をすることが大切です。もちろん、夜更かしは避けましょう。
 室内は明るく。雨や曇りで室内が暗いと自律神経のバランスが乱れがちになります。朝起きたらカーテンは全開にし、それでも暗い日は電気をつけても明るさを保ちましょう。
 就寝前に目元を温める。寝る時は、交感神経の緊張から副交感神経に切り替えてゆっくり眠りたいものです。そこで寝る前に蒸しタオルやホットアイマスクで目元を温めるとリラックスできて副交感神経のスイッチが入り睡眠の質が高まります。もちろん、就寝前の入浴も同じ効果があります。
 耳のマッサージ。耳周りの血流を良くし、内耳のリンパ液の流れを保つために耳を回すマッサージをすることでめまいや頭痛の症状が防げます。
 湿気を取り除く。湿気も体調不良の原因です。除湿器をかけたり、換気して湿気を取り除いてください。只、過度の空調は自律神経のバランスが乱れる原因になりますので避けましょう。
 アプリで気圧予測。最近は天気予報だけでなく、気圧や湿度も予測するアプリがあります。それらを使って自分の体調と気圧や温度、湿度との関係を知り、前もって対処することも出来るようになりました。天気病にお悩みの方はぜひ利用してください。

天気病とは別に、梅雨時は食中毒の季節でもあります。皆さんくれぐれも生ものにはお気を付けください。